研究課題/領域番号 |
23K13186
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
石井 杏佳 京都大学, 防災研究所, 特定助教 (30967526)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | 浅部火道 / 揮発性物質 / 噴火推移 / ブルカノ式噴火 |
研究開始時の研究の概要 |
マグマ中に含まれる揮発性物質の量は、噴火の様式や爆発性を左右する重要なパラメータである。本研究では、噴火発生時に火道浅部に存在するマグマに、どのくらい揮発性物質が含まれているのかを地球物理学的観測から評価する手法の確立を目指す。マグマ中を伝わる圧力波の伝播速度がマグマに含まれる気相の体積分率に応じて変化することに着目し、爆発時の地震・空振シグナルを精査することで揮発性物質量の増減の追跡を試みる。さらに、揮発性物質量の時間変化と噴火表面現象や噴出物量を比較して、噴火活動の推移メカニズムを明らかにすることに挑む。
|
研究実績の概要 |
火道浅部マグマ中に含まれる揮発性物質量は噴火様式や噴火のダイナミクスを支配する重要なパラメータのひとつである。本研究では、この揮発性物質量を地震・空振などの火口近傍での地球物理観測から評価することを目指している。
本年度は2022年、2023年に桜島で発生したストロンボリ式噴火の地震・空振記録の解析を実施した。このストロンボリ式噴火はいずれの事例においても、大きな地盤変動を引き起こしたブルカノ式噴火の発生に続いて数時間にわたって発生していたもので、頻発する空振パルスが特徴的な事象である。一般的にストロンボリ式噴火の発生時には、通常のブルカノ式噴火の発生時に比べて、火道浅部に揮発性物質に富んだマグマの存在が示唆される。そこで、ストロンボリ式噴火とその前後に発生していたブルカノ式噴火の地震・空振記録の比較検証をおこなった。その結果、地震記録と空振記録の観測点への到来時間差が噴火様式によって異なっており、ストロンボリ式噴火発生時の方が有意に短くなることがわかった。一方、両様式の空振記録は振幅の大きさは異なるものの、シグナルを構成する周波数成分には大きな差がないことが明らかになった。また、ブルカノ式噴火の発生後に観測される空振パルスは、地震記録とよく連動する時間帯とそうでない時間帯があり、時間経過とともに地震記録のみが明瞭なシグナルを描くようになる傾向がみられた。これらの結果は、揮発性成分に富んだマグマの貫入とその後の脱ガス過程を反映している可能性が高く、今後統一的に説明可能な解釈を進めることが望まれる。 さらに、データ解析と並行して、地震・空振並行観測の観測機材テストを実施し、機器特性の確認を行った。波源近傍での地震・空振の波動伝播の特徴を把握することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画では新規観測点の設置を計画していたが、既存観測点でも想定より有益なデータが取得できていることが判明したため、計画を変更し既存データの解析に着手した。そのため、当初予定していた観測計画の見直しが発生し、全体としてはやや進行が遅れているとの判断をしている。しかし、既存データの解析からは揮発性物質の挙動を時系列的に説明するのに重要な示唆が得られているため、早急に解析を進めて成果報告を行う予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き、既存データの解析を進める。現在着目している2022年、2023年の噴火イベントについて、ストロンボリ式噴火の発生前後の地震・空振記録の時系列変化をまとめ、成果発表を急ぐ。また、特に次年度はブルカノ式噴火とストロンボリ式噴火にともなう爆発地震の震源位置・深さの推定を行い、一連の噴火活動における震源の時空間変化を明らかにすることを目標とする。並行して観測計画の見直しを実施する。
|