研究課題/領域番号 |
23K13191
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
川口 允孝 東京大学, 地震研究所, 特任研究員 (20943608)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 硫黄同位体比 / 沈み込み帯 / スラブ流体 / メルト包有物 / 二次イオン質量分析 |
研究開始時の研究の概要 |
島弧マグマの硫黄に富む地球化学的特徴は沈み込んだプレート(スラブ)由来の流体の付加を反映していると考えられているが,硫黄がどのように沈み込み循環しているのか,その輸送過程についてはコンセンサスが得られていない.特にスラブ流体中の硫黄の化学種や同位体組成については論争が続いており,スラブ流体とマントルの反応生成物である火山岩の分析によって物質科学的な証拠を提示する必要がある.本研究ではメルト包有物を利用して未脱ガスマグマの硫黄同位体組成を直接分析し,地表ーマントル間の硫黄循環プロセス解明につながる未解決問題「スラブ流体の硫黄同位体組成」を明らかにする.
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研究実績の概要 |
島弧のマグマが硫黄に富む事実は沈み込んだプレートから放出された流体の付加を反映した地球化学的特徴だと考えられているが,硫黄がどのように沈み込み循環しているのか,その輸送過程についてはコンセンサスが得られていない.特に沈み込みに伴ってプレートから放出される流体(スラブ流体)中の硫黄の化学種や同位体組成については論争が続いている.本研究では島弧に産する火山岩を対象として,かんらん石斑晶に含まれるガス成分に富んだ微小ガラス(メルト包有物)を分析し,脱ガスによる改変前の初生的な硫黄同位体比を直接測定する.スラブ流体とマントルの反応生成物である初生マグマの硫黄同位体組成を決定することで,地表ーマントル間の硫黄循環プロセス解明につながる未解決問題「スラブ流体の硫黄同位体組成」を明らかにする. 沈み込み成分の評価に有用な微量元素濃度と硫黄同位体比の両方が報告されているメルト包有物のデータは比較的若いプレートが沈み込む場のものが殆どであり,沈み込み帯全体を代表するデータセットが得られているとは言い難い.そこで沈み込み条件の異なる島弧から幅広く硫黄同位体組成のデータを得るために,令和5年度は古く冷たいプレートの沈み込む場である伊豆・小笠原孤およびインドネシアのジャワ孤を中心に調査を実施した.両島弧から玄武岩質な活火山を選定し,現地での地質調査を行った.各火山を代表する試料としてかんらん石を含む火山岩試料を採取することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内外の複数の島弧において地質調査を実施し,各島弧からかんらん石を含む火山岩試料を採取することができた.国外での試料採取およびメルト包有物の前処理に時間を要したため,令和5年度中に試料の分析には至らなかったものの,当初の予定通りインドネシアおよび伊豆諸島から試料を採取できた.採取した火山岩を粉砕し,鉱物の分離や研磨などメルト包有物の局所分析に向けた準備を進めている.
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度はこれまでに採取した火山岩試料の記載および分析を進める.かんらん石を含む試料は粉砕し,鉱物分離を行なった後,研究に最適なメルト包有物を含む斑晶を選定する.選定したかんらん石斑晶は順次メルト包有物の分析に向け前処理を行い,二次イオン質量分析計(SIMS),電子線マイクロアナライザー(EPMA),レーザーアブレーションICP質量分析計(LA-ICP-MS)による局所分析を実施する.当初研究計画に沿ってかんらん石を含むテフラ(降下火砕物)試料の収集は継続し,他火山を中心に調査を実施する.得られた研究成果については学会発表や論文化を進める.
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