研究課題/領域番号 |
23K13193
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
大平 格 学習院大学, 理学部, 助教 (90873159)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ガラス / 高圧 / 弾性波速度 / 無容器法 / ポリアモルフィズム / 動径分布関数 |
研究開始時の研究の概要 |
地球内部の410 kmおよび660 km不連続面付近には、固体マントルよりも高い密度を持つ「地球深部マグマ」が存在する可能性が指摘されている。このようなマグマは、圧力が誘起する構造変化により高密度化している可能性がある。しかし、マグマの主要構成元素の一つであるアルミニウム(Al)が高圧構造変化に与える影響については未だ理解が乏しい。本研究は、室温におけるマグマの構造的アナログ物質である二、三成分系のアルミノケイ酸塩ガラスについて、高圧下で弾性波速度測定とX線回折測定・動径分布関数解析を行い、ガラスの高圧構造変化に対するAlの効果を物性と構造の両面から明らかにすることを目的とする。
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研究実績の概要 |
地球内部の410 kmおよび660 km不連続面付近には、固体マントルよりも高い密度を持つ「地球深部マグマ」が存在する可能性が指摘されている。このようなマグマは、圧力が誘起する構造変化により高密度化している可能性がある。しかし、マグマの主要構成元素の一つであるアルミニウム(Al)が高圧構造変化に与える影響については未だ理解が乏しい。本研究は、室温におけるマグマの構造的アナログ物質である二、三成分系のアルミノケイ酸塩ガラスについて、高圧下で弾性波速度測定とX線回折測定・動径分布関数解析を行い、ガラスの高圧構造変化に対するAlの効果を物性と構造の両面から明らかにすることを目的とする。 本年度は、三成分系のアルミノケイ酸塩ガラスのうち、代表的かつ天然に豊富に存在する元素から成るCaO-Al2O3-SiO2系のガラスについて、(1)無容器法ガラス合成装置(愛媛大学)を用いた合成と、(2)SPring-8のBL04B1ビームラインを利用した高圧その場弾性波速度測定を実施した。 ガラスの合成に関しては、既に合成に成功していたCaSiO3およびCaAl2Si2O8組成のガラスに加え、Ca2Al2Si3O11, CaAl4Si3O13, CaAl2SiO6, Ca2Al6Si2O15, CaAl4SiO9ガラス (それぞれAl/(Al+Si) = 0.40, 0.57, 0.67, 0.75, 0.80)を新たに合成することに成功した。 合成したガラスのうち、CaAl2SiO6, Ca2Al6Si2O15, CaAl4SiO9の三組成のガラス試料について、常圧から24万気圧の高圧その場条件下で縦波速度および横波速度の両方を決定することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度に計画されていた研究のうち、ガラスの合成に関しては、予定通り複数組成のCaO-Al2O3-SiO2を合成することが出来た。当初の計画では、Ca2+を他のイオン(例えばNa+やMg2+)に置き換えた組成のガラスも初年度に合成する予定であったが、こちらについてはCaO-Al2O3-SiO2系ガラスの高圧その場弾性波速度測定の結果を受けて合成すべき組成を判断することにしたため、2024年度以降に改めて合成する予定である。 弾性波速度測定については、合成に成功した五組成のガラス試料のうち、CaAl2SiO6、Ca2Al6Si2O15、CaAl4SiO9の三試料について目標の圧力まで弾性波速度を決定することに成功した。この測定ペースは、ほぼ年次計画通りである。 上述の通り、2023年度は試料合成・弾性波速度測定共に年次計画に沿って順調に実施することができたことから、本課題は総合的にはおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
ガラスの合成に関しては、2023年度までに十分な量のCaO-Al2O3-SiO2系ガラスの合成に成功したため、2024年度以降は、MgO-Al2O3-SiO2系およびNa2O-Al2O3-SiO2系ガラスの合成に注力する。Na2O-Al2O3-SiO2系については、レーザ加熱式浮遊炉ではナトリウムの揮発が想定されるため、その検証と対策も行う予定である。 弾性波速度測定については、まず2023年度に合成したガラス試料のうち、Ca2Al2Si3O11およびCaAl4Si3O13の二試料について実験を行う。その後、MgO-Al2O3-SiO2系ガラスやNa2O-Al2O3-SiO2系ガラスの実験に移行する。 加えて、2024年度からは高圧その場放射光X線回折測定も行い、ガラスの弾性挙動の背後にある高圧構造についても研究を進めていく。この実験はアメリカの放射光施設APSの16-BM-Bビームラインで行うことを予定している。しかし、最近では国内のSPring-8の一部ビームラインで同種の実験が実施可能になってきたため、そちらの利用も検討していきたい。 また、実験により決定されるガラスの一次元的な平均構造やその圧力変化を詳細に理解するために、国内外の理論計算の研究チームと協力し、分子動力学計算を用いた高密度化ガラスの3次元構造モデルの構築も進めていきたい。この試みに関して、既に高圧その場実験により決定したCaAl2O4ガラスの二体分布関数を再現する構造モデルを構築することに成功しており、上述の三成分系ガラスにも適用可能であると考えている。
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