研究課題/領域番号 |
23K13197
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
椎名 高裕 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (70796151)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | ベイズ逆解析 / 地震波速度構造 / トモグラフィ / マルコフ連鎖モンテカルロ法 / 令和6年能登半島地震 / 地殻構造 / トモグラフィ解析 / 地震波速度 / 密度 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,マルコフ連鎖モンテカルロ法を土台としたアプローチを導入し,地震波トモグラフィ解析を刷新する.これにより既存手法では困難とされてきた地震波速度の絶対値の推定を実現する.さらに,開発手法を重力異常データの解析に応用することで密度構造の推定手法を構築する.地震波速度と密度の定量的な推定を介して弾性定数を制約し,日本列島における島弧地殻強度とその実態の解明を目指す.
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研究実績の概要 |
弾性定数の制約するために必要不可欠なパラメータのうち,地震波速度について,その3次元構造の定量的なイメージング手法の開発に着手し,マルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC法)を軸とするベイズ型地震波トモグラフィ解析手法を試作した.提案手法では,データ密度に応じた空間解像度の最適や効率的な事後確率分布の探索することを目的としてReversible-jumpアルゴリズムやレプリカ交換法を組み込んだ. さらに,数値実験により,提案手法の挙動や計算速度を含む,実観測データへ適用する上での課題を検討した.その結果の,3次元速度構造と震源位置の同時推定を行うとき速度構造の収束が非常に遅くなる,という課題が浮上した.その要因の一つとして,速度構造と震源位置に関わるモデルパラメータ数が大きく異なることが考えられた.そこで,当初想定していたモデルパラメータをランダムに更新するアプローチでは,各モデルパラメータの更新を等しく試みるMetropolis within Gibbs(MwG)法によるアプローチの適用を検討した. 具体的な検討の問題設定として,能登半島周辺で発生した地震の震源位置と観測点補正値の同時推定を考えた.能登半島周辺では,2005年から2024年初頭において約4万個の地震が発生している.対して,観測点数は100程度である.このようなモデルパラメータ数に大きな偏りがある条件に対して,MwG法を用いたMCMC解析を行い,尤もらしい観測点補正値および震源位置が推定できることを確認した.また,推定された震源位置の不確定性を定量化したところ,能登半島の沖合で発生した地震では,特に深さ方向で,多峰性を持つ事後確率分布が得られることがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ベイズ型地震波トモグラフィ法の構築が着実に進み,解析手法を試作することができた.性質の異なるモデルパラメータを対象とし,かつその数に大きな偏りがある場合に,一部のモデルパラメータの更新が遅くなるという課題が顕在化したものの,類似の問題に対して解決策を見出すことができた.このため,解析手法を大きく変更することなく,対策が可能である. 以上のことから,当初予定に対して,本年度は順調に研究が進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
提案手法にMwG法を組み込み,数値実験や小さなデータセットに対する適用実験を行い,ベイズ型地震波トモグラフィ法の構築を進める.また,能登半島周辺や中国・四国地方などを中心に,実際の観測データを用いた解析を実施し,3次元地震波速度構造の定量的推定を試みる. また,弾性定数の制約するために必要不可欠な,もう一つのパラメータである密度構造の推定に向けて,ベイズ型密度トモグラフィ法の開発に向けた準備を開始する.
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