研究課題/領域番号 |
23K13198
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
沢田 輝 富山大学, 学術研究部都市デザイン学系, 助教 (10845100)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 蛇紋岩 / 方解石 / 霰石 / アンチゴライト / クリソタイル / リザーダイト / バデレアイト / ジルコン / 双子元素 / ジルコニウム / ハフニウム / 熱水活動 |
研究開始時の研究の概要 |
蛇紋岩化反応は地球のマントルを構成するかんらん岩と水の反応であり強アルカリ性・還元性をもった特異な流体が生じ、広く様々な場所で起こっていると想像されるが、その規模や分布、海洋組成への影響は未だ明らかになっていない。本研究ではジルコニウムとハフニウムという微量元素の比率が蛇紋岩化反応を通じて変動しうるという予想に基づき、深海底でまさに蛇紋岩化反応の起こっているマリアナ島弧海域の水や岩石を航海調査によって採集氏分析する。また、日本各地に存在する様々な地質時代の蛇紋岩も採集、分析して、現在の海洋で起こっている現象と比較、検討し、海洋組成に対する蛇紋岩化反応に伴う低温熱水系の影響の制約を目指す。
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研究実績の概要 |
2023年の春に1ヶ月間の研究航海を行い、伊豆・小笠原・マリアナ諸島の南方の海溝沿いに位置する2箇所の海底蛇紋岩泥火山、サウスチャモロ海山およびアステソル海山において、海底設置型掘削装置(BMS)によるボーリングコア採集や、無人潜水調査艇(ROV)による海山の表面観察、岩石試料、泥試料、および水試料の採集などを行った。これらの試料に対して、光学顕微鏡観察、蛍光X線分析、ラマン分光分析などほぼ非破壊で行うことのできる分析を中心にして、構成鉱物の記載を進めている。この結果、採集した蛇紋岩や変成岩、また泥火山のマトリックスを構成する泥の中のアルカリ性流体から結晶化したと考えられる炭酸塩鉱物などにおいて本研究課題で期待していた組成のものが見つかりつつあるのと同時に、これまでに記載されていない種類の鉱物や産状が見つかりつつある。今後もこれらの海底試料の分析を継続し、さらに微量元素組成の分析も行う予定である。一方で、日本国内の陸上の蛇紋岩体(関東山地や四国地方の三波川帯、北陸地方の蓮華帯など)からもジルコニウムを主成分とする鉱物が見つかりつつあり、それらや母岩に伴われる炭酸塩鉱物の微量成分やストロンチウム、炭素、酸素などの同位体比分布の分析も合わせつつ、起源と組成を説明しうる水岩石反応の考察を行っている。海底試料よりもプレート沈み込み帯深部や、あるいはプレート沈み込み帯で島弧に付加する前の古海洋中での水岩石反応を記録している可能性を検討している。これらの分析を通じて、蛇紋岩化反応に伴うアルカリ性流体の水岩石反応による微量元素、特に難水溶性である高配位子場元素の挙動について解明を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度に実施した海洋研究開発機構の海洋調査船かいめいの航海KM23-05において、海洋底掘削などを通じて期待していたよりもはるかに多量の蛇紋岩やその他の変質岩・変成岩、またアルカリ性流体の中で自生したと思われる炭酸塩鉱物の結晶などの試料が採集された。これらの分析を進めている中で、先行研究では解明されていなかった蛇紋岩化反応に伴う鉱物形成や水岩石反応に付いて理解が進むことが期待できる状況にある。一方で、水試料については採集時のコンタミネーションの影響が大きいことに加えて、所属組織の変更も会ったことから、研究の方向性を一部転換し、主に岩石試料や泥試料を中心に研究を進める予定である。航海調査に付随して、蛇紋岩化反応で生じたアルカリ性流体による化学合成群集の発見や海底火山における液体二酸化炭素の調査中に発見された巨大な溶融硫黄という流体のたまり場の発見など、計画外ではあるものの多様な分野の研究者が多数同席する調査航海ならではの成果が得られた点は特筆すべき点であった。陸上での調査については、従来の研究や予察的研究からさらに発展して、現在、数編の論文をまとめる段階に来ており、今後は別の地域で同様の研究を展開できるように陸上の蛇紋岩体の調査を共同研究をしている研究者や学生らと進めていきたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
難水溶性元素の蛇紋岩体における分布の把握は、本研究の目標達成のための基礎的な情報であるが、分析を進めていく中で、計画段階に期待していたマイクロメートルスケールでの不均質ばかりではなく、数十センチメートルから数十メートルスケールでの大きな不均質が存在することがわかりつつある。このような大きなスケールでの岩石や鉱物の微量元素分布を従来手法で把握することは難しい。近年、高感度高空間分解能かつ迅速な分析が可能なマイクロ蛍光X線分析装置が普及しつつある。これを活用して、今後の研究を進めていきたいと考えている。一方で、新しい所属組織では鉱物中の流体包有物の分析に適したマイクロサーモメトリー装置を修理して、現在は順調に稼働しており、これを活用して流体についての理解に貢献することも期待したい。また、来年度以降に別の航海調査
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