研究課題/領域番号 |
23K13199
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
門屋 辰太郎 東京工業大学, 地球生命研究所, 特任助教 (60801347)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 全球凍結イベント / ホウ素循環 / 炭素循環 / ホウ素同位体比 / 生物地球化学循環 / 原生代 / ホウ素 / 海洋組成進化 |
研究開始時の研究の概要 |
全球凍結は地球史において最も過酷な環境変動であり、その影響は大気・海洋の組成や生命の進化に波及したと考えられる。本研究課題では、海洋でのホウ素循環を理論的に検討し、全球凍結イベントにともなう、海洋中のホウ素量やホウ素同位体比の変動を明らかにする。また、ここで得られた結果と、原生代後期に起きた2度の全球凍結イベントに関連する地質記録とを比較・対照することで、これらのイベントで起きた海洋pH変動や大気中二酸化炭素濃度変動に対し制約を与える。こうした一連の検討を通して、原生代後期の全球凍結イベントの特徴の違いや、そのような差異が生じた理由を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、全球凍結イベントに関連して生じるホウ素同位体比変動のメカニズムを明らかにすることである。従来、ホウ素同位体比は海洋のpH変動の指標として用いられており、原生代後期のマリノアン全球凍結で観測されているホウ素同位体比の負異常も、この文脈に則って解釈されていた。しかし、全球凍結イベントにおいて、ホウ素同位体比から想定されるようなpH変動がおきるかどうかについては疑義が呈されており、観測されるホウ素同位体比がどのような環境変動を示すのか、明らかではなかった。本研究では、ホウ素の循環モデルを用いて理論的な研究を行うことで、全球凍結イベントに関連して起こる大陸風化率の変動がホウ素同位体比の負異常を引き起こすことを明らかにした。本研究において明らかになったメカニズムは、一般的な全球凍結イベント仮説とも調和的であり、より現実的な解釈をホウ素同位体比データに与える。また、マリノアン全球凍結における負の異常とは異なり、同時代に発生したスターチアン全球凍結ではホウ素同位体比がほぼ一定であったことが観測されている。本研究の結果に基づくと、こうした違いが氷床下での岩石風化の違いによって生じたのではないかということが示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究において、全球凍結にともなうホウ素同位体比変動のメカニズムが明らかになった。得られた結果は論文としてまとめ、すでに投稿中である。このため、本研究課題は概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度では、ホウ素同位体比から推定される大陸風化の変動メカニズムを、炭素やストロンチウムの同位体比など、全球凍結イベントに関連して観測されている他のパラメータの変動に基づいて検証していく。
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