研究課題/領域番号 |
23K13209
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分17050:地球生命科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
後藤 孝介 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (30612171)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 大酸化イベント / ヒューロニアン累層群 / モリブデン同位体 / モリブデン同位体比 / 砕屑性堆積岩 |
研究開始時の研究の概要 |
原生代前期(25-20億年前) における大気酸素濃度の上昇は,大酸化イベントと呼ばれており,真核生物の進化を促した可能性が考えられている.本研究では,大酸化イベントにおける大気酸素濃度の変遷を明らかにすることを目標に,“砕屑性堆積岩のモリブデン同位体比 (δ98/95Mo) が酸化的風化の指標として有効なのか”を検証する.そのために,堆積時の酸化還元環境が制約されている原生代前期の砂岩・泥岩試料を系統的に分析し,理論的に予想されるトレンドと比較する.得られた知見に基づき,指標の有効性を検証し,本手法を用いた大気進化に関する研究の新たな展開の下地を作る.
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研究実績の概要 |
大酸化イベントにおける大気酸素濃度の変遷を明らかにすることを目標に,酸化的風化の指標としての砕屑性堆積岩におけるモリブデン同位体比の有効性を検証した.本年度は,砕屑性ウラン鉱床を含み,貧酸素大気環境下で堆積したことが知られているカナダのヒューロニアン累層群マチネンダ層のモリブデン同位体分析を行った.分析には,エリオットレイク地域より採取された2本のコア試料を使用した.薄片観察の結果,片方のコアからは,砕屑性のウラン含有鉱物が確認された.また,そのコアにはウラン濃度が最大で200 ppm程度含まれていることが,四重極型誘導結合プラズマ質量分析装置を用いた全岩化学分析によって明らかとなった.一方で,ウラン含有鉱物が確認できなかったコア試料には,2-7 ppm程度しかウランは含まれていなかった.ウラン含有量の違いなどから起源物質に多少の違いがあったことが推察されるが,いずれのコアにおいてもマチネンダ層のモリブデン同位体比は,大きな変動を示さず,氷河性ダイアミクタイトの分析によって推定されている太古代の上部大陸地殻の値と概ね一致することが明らかとなった.このことは,モリブデンの酸化還元反応が起きていなかったことを支持しており,マチネンダ層が貧酸素大気環境下で堆積したことと調和的である.ただし,氷河性ダイアミクタイトの値と比べると,同位体比のバラつきは大きく,砕屑性硫化物に含まれるモリブデン同位体比の不均質性などの影響を受けた可能性が考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度に予定していた試料の化学分析が完了したため.
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今後の研究の推進方策 |
赤色土層を含み,酸化的な環境で堆積したと考えられるカナダのヒューロニアン累層群ロレイン層のモリブデン同位体分析を進める.
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