研究課題/領域番号 |
23K13219
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分18010:材料力学および機械材料関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
顧 少杰 名古屋大学, 工学研究科, 特任助教 (00966830)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 積層造形 / 電流印加 / 微細構造の改善 / 欠陥の修復 / 電子風力 |
研究開始時の研究の概要 |
アディティブ・マニュファクチャリング(AM)は、3Dプリンティングとしても知られ、技術革新と産業の持続にとって重要な戦略である。しかし、新しい技術には常に課題がある。急速に変化する熱履歴により、AMによって作られた金属材料は、さまざまな微細構造の欠陥が存在し、高い残留応力、機械と疲労特性の低下などの問題が生じる。本研究では、電流を利用した新しい後処理方法を開発し、AMで製造された材料に対して効果的な微細構造変更と欠陥修復を実現し、さらに電流誘起微細構造進化のメカニズムを明らかにする。その原理を十分に理解した上で、環境に優しい製造の方法を提供し、製造業にイノベーションをもたらす可能性がある。
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研究実績の概要 |
令和5年度、3Dプリントされたニッケル基超合金およびチタン合金の微細構造改造と力学的性能の最適化に関する研究を主に行った。特に、電流処理中の非熱効果(電子風力)が材料の微細構造改造メカニズムに与える影響について調査した。以下の研究実績を得た。 1. 3Dプリント材料の微細構造改造と力学的性能の最適化 研究代表者として、ニッケル基超合金およびチタン合金の微細構造と力学的性能の最適化を目指し、様々な電流施加戦略を用いた系統的な研究を行った。ニッケル基超合金では、微視的な残留応力の迅速な除去と微視的偏析の軽減を実現した。一方、チタン合金では、相、結晶粒形態、結晶内欠陥の制御に成功した。電流処理によって3Dプリント材料の微細構造がどのように改善されるかについて、基本的な理解が得られた。さらに、電流処理後の3Dプリント材料と従来の鍛造材料との違いもよく理解されてる。既に1つの論文「Materials Today Communications (2023年)」が出版され、もう1つの論文が準備中である。 2. 非熱効果(電子風力)による微細構造改造のメカニズムの解明 電流処理中に避けられない熱効果(ジュール熱)が、微細構造変化における非熱効果の作用を解明する上で障害となる。そのため、私は基材と同様の熱履歴を維持しつつ、電流の流れを阻害する革新的な予微加工構造を提案した。この方法は熱効果と非熱効果を効果的に区別することができることが実験結果からも証明された。この研究成果は高水準の学術雑誌に投稿され、現在審査中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでのところ、3Dプリント材料の微細構造と力学性能を改善するために電流処理を利用することに関して、より深い理解を得た。例えば、電流処理が微細構造内の転位密度の減少、元素偏析の改善、結晶形態の変化についても、良い理解を持っている。電流処理は、数ミリ秒以内に材料の調整を完了できるシンプルで省エネルギーな方法であり、その高効率で迅速な特性は、アディティブ・マニュファクチャリング産業の製造効率の向上に寄与する。さらに、非熱効果(電子風力など)が微細構造改造に及ぼすメカニズムについても深く探求した。研究結果は、非熱効果が熱効果では達成できない独特の微細構造改造効果をもたらすことを示している。非熱効果による微細構造改造のメカニズムに関する研究は、さらに深い調査が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度には、さらに一般的に使用される3Dプリント用の2種類の材料、ステンレス鋼とアルミニウム合金についての研究を開始する。また、従来の鍛造材と3Dプリント材料の電流処理を比較する研究を進め、3Dプリント材料の特性をさらに深く探るとともに、3Dプリント材料に適した電流施加戦略を開発する。さらに、非熱効果(電子風力など)が微細構造改造に及ぼすメカニズムをさらに深く解明するため、その場TEM実験を利用する予定である。
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