研究課題/領域番号 |
23K13225
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分18010:材料力学および機械材料関連
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
田中 佑弥 福岡大学, 工学部, 助教 (50904588)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | Alloy718 / Alloy25 / き裂進展下限界値 / せん断型疲労き裂 / 析出強化 / オーステナイト系析出強化材 / 微小き裂 / き裂進展下限界 / 水素脆性 / 疲労限度 |
研究開始時の研究の概要 |
水素社会の実現に向けて水素環境中で使用できる高強度なオーステナイト系析出強化材に関心が高まっているが,この種の材料の疲労限度決定メカニズムは未解明であり,定量的な疲労限度評価手法は確立されていない.また,機械・構造物に存在する形状変化部や欠陥は疲労強度を低下させるが,析出強化材の疲労限度に及ぼす欠陥の影響を調査した例はほとんどない.さらに,析出強化材に水素が侵入し疲労限度が低下することが懸念されている.本研究では,疲労き裂の進展下限界条件に着目しオーステナイト系析出強化材の疲労限度決定メカニズムを明らかにするとともに,疲労限度に及ぼす欠陥や水素の影響を包括的に評価する手法の提案を試みる.
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研究実績の概要 |
本研究は,疲労き裂の進展下限界条件に着目してオーステナイト系析出強化材の疲労限度決定メカニズムを明らかにするとともに,疲労限度に及ぼす欠陥や水素の影響に対する包括的な評価手法を提案することを目的としている.以下に今年度の主要な成果を示す. 微小欠陥材のねじり疲労限度評価:研究代表者らのグループは荷重の負荷方式(力学条件)や欠陥の形状・寸法がオーステナイト系析出強化材の疲労限度決定メカニズムに及ぼす影響を包括的に考慮できる疲労限度評価法を提案したが,微小欠陥材のねじり疲労限度評価に対する本評価法の適用性の実証には至っていなかった.今年度はNi基超合金Alloy718を用いて本評価法の実証研究を行ったところ,ねじり疲労問題においても本評価法の有用性を示唆する結果が得られた. ベリリウム銅合金の疲労限度決定メカニズムの調査:上述のように,Alloy718の疲労限度決定メカニズム解明については一定の成果が得られつつあるが,Alloy718以外のオーステナイト系析出強化材については有用な知見がほとんど得られていない.そこで今年度はAlloy718で培ってきた知見をもとに,ベリリウム銅合金Alloy25の疲労限度決定メカニズムを,熱処理条件の異なる平滑材(溶体化処理材と析出強化材)の引張圧縮疲労試験により調査した.その結果,Alloy25における疲労限度はAlloy718と同様のメカニズムにより決定されていることを示唆する結果が得られた. 上記の研究成果の一部を1件の国際会議で報告した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
使用材料の変更や材料への水素チャージ方法の検討の遅れなど,当初の研究計画からの軽微な変更や未達成事項はあるが,Alloy718を用いた研究によりオーステナイト系析出強化材全般に適用可能な疲労限度評価法を提案したことやAlloy25における成果を考慮し,「おおむね順調に進展している」の評価としたい.
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今後の研究の推進方策 |
ねじり疲労限度評価法の確立を目指し,引き続きAlloy718を用いた研究を進める.一連の成果を2024年度中に学術論文として発表することが目標である.Alloy25については,引張圧縮疲労限度に対する結果の影響を調査するとともに,ねじり疲労試験を行うことで力学条件の影響解明を試みる.さらに,研究代表者らがこれまでに明らかにしてきた知見の鉄基耐熱合金SUH660への適用可能性の調査を開始する予定である.
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