研究課題/領域番号 |
23K13228
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分18020:加工学および生産工学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
久慈 千栄子 東北大学, 工学研究科, 助教 (20839287)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | アモルファス合金 / 微細組織 / 結晶化過程 / 構造緩和 / 難加工材料 / 熱分析 / X線解析法 / 透過型電子顕微鏡 |
研究開始時の研究の概要 |
アモルファス合金の難加工性は,特殊な組織構造に起因して発現するが,その組織構造は熱により容易に変化する.本研究では,アモルファス合金の特殊な組織構造を加工に適するものへと熱的に変化させることで加工性を向上させる,新たな加工法を開発する.アモルファス合金は組成にも起因して機械的特性が変化することから,多様な組成に対応したアモルファス合金の熱的な微細組織構造の変化挙動と機械的特性の関係を明らかにする.
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研究実績の概要 |
Fe基アモルファス合金は,軟磁性材料として優れた性能を有するにも関わらず,加工の難しさがネックとなり普及が進んでいない.本研究の目的は,アモルファス合金の熱的微細構造変化に伴う機械的特性変化を応用した,新規加工手法開発の基盤を確立することである.本合金の軟磁期的・機械的・化学的特性は,組成に大きく依存して変化するため,用途に応じた合金種の選択が必要となる.同時に,熱的微細構造変化挙動も組成に依存して大きく変化することが示唆されており,組成に応じた適切な加工指針が求められる.本研究課題では,Fe基アモルファス合金の(1)組成に応じた熱的微細構造変化が,(2)機械的特性にもたらす支配要因を解明し,(3)微細構造変化による機械的特性変化が加工性能に与える影響度を評価することを目標とした. (1)では,新たに2種類の商用アモルファス合金(Metglas2605SA1、etglas2605HB1M)に対してICP発光分析を用いた組成調査を行い,先行研究で調査したFe基アモルファス合金(Metglas2605S-3A)の組成の違いを評価した.これら2種類のアモルファス合金に対して熱分析を行い,組織変化が生じる温度が異なることを明らかにした.熱分析結果を基に,各試料の熱処理条件を選定した.評価試料の熱処理前後における構造解析は,X線解析法および透過型電子顕微鏡により行い,熱的微細組織変化過程に生成される結晶の種類や形状が組成に依存して異なることを明らかにした.(2)では簡易的な機械的特性の評価手法としてビッカース硬さ測定を採用し,熱処理により組織を調整した2種類のアモルファス合金の硬さを評価した.その結果,アモルファス合金の熱的組織変化過程では,ビッカース硬さは析出した結晶の種類や形状ではなく,体積分率にのみ依存することが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は3つ設定した研究課題のうち,1つめの「組成比の違いに応じた熱的微細構造変化の調査」を完了し,2つ目の「微細構造と機械的特性の関係性の調査」に着手することができ,計画通り進んでいるといえる.今後は2つ目の残りの課題および3つ目の「加工性の評価」を遂行する.
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今後の研究の推進方策 |
今後は「微細構造と機械的特性の関係性の調査」および「加工性の評価」を行う.前者は今年度のビッカース硬さ測定に追加し,FIB装置内での微小引張試験を行うことで,より詳細な機械的特性を評価する.後者は,当初の計画であった模擬切削試験ではなく,実際の加工を模擬したせん断試験への変更を検討している.もし後者の評価治具製作が困難であった場合,当初の予定通り模擬切削試験により加工性を評価する.
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