研究課題/領域番号 |
23K13233
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分18020:加工学および生産工学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
孫 栄硯 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (50963451)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 固定砥粒 / プラズマ援用研磨 / 窒化ガリウム(GaN) |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、固定砥粒を用いた高速ラッピングとプラズマ照射による表面改質を援用した高能率無歪研磨仕上げから構成される一貫製造プロセスを構築し、GaN基板に対するスラリーを用いない革新的な高能率無歪加工プロセスを実現するとともにその学理を探究する。PAPの平滑化メカニズムを解明するとともに、大面積プラズマを安定に発生させて、既存の研磨法を凌駕する研磨レートを実現する。さらに、研磨仕上げの前段階であるラッピング工程では、従来の遊離砥粒ラッピング法の代わりに固定砥粒ラッピング法を適用し、GaNウエハ製造プロセスの限界を打破する革新的な高能率かつダメージフリーな一貫製造プロセスを完成させる。
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研究実績の概要 |
今年度には、GaNウエハの高能率低コスト一貫加工プロセスの一環として、固定砥粒を用いたGaNウエハの高速ラッピングプロセスの開発を行いました。加工レートの向上とウエハ表面粗さの低減を目標とし、各種加工液とGaNの加工特性の相関評価を行うとともに、加工メカニズムの解明も試みました。また、砥粒径、砥石結合強度、回転数、水添加レート、加工荷重などの加工パラメータの最適化も行いました。その結果、同じ粒径の固定砥粒定盤を使用する場合、従来のダイヤモンドスラリーを用いた遊離砥粒ラッピングと比較して、約10倍の研磨レートを得るとともに、表面粗さSa0.5 nm以下の表面も実現しました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
GaN種基板作製→GaNバルク結晶成長→GaNウエハ作製→ラッピング粗加工→仕上げ研磨→GaNデバイス化などの六つメイン工程で構成されています。現状では、加工部分(ラッピング&仕上げ研磨)のコストは全プロセスコストの約5割を占めているため、GaNデバイスの社会実装を律速しております。GaNデバイスの製造コストを飛躍的に低減するために、本研究では、固定砥粒を用いた高速ラッピング法とプラズマ援用研磨法を組み合わせたGaNウエハの高能率低コスト一貫加工プロセスの開発を目的としました。今年度には、仕上げ工程の前段階として、ラッピング工程ではGaNウエハの平坦化と表面粗さの初期低減を目的として、加工レートとウエハ表面粗さに関わる加工パラメータの最適化により、GaNウエハの表面粗さSaを0.5 nm以下を実現した上で、従来のダイヤモンドスラリーを用いた遊離砥粒ラッピングプロセスの10倍除去レートを得られました。
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今後の研究の推進方策 |
固定砥粒を用いた高速ラッピングによって得られたGaNウエハに対し、高能率なプラズマ援用研磨プロセスを開発する予定です。本プロセスでは、プラズマ発生条件の最適化と反応モデルの構築により、表面反応速度を向上させます。さらに、プラズマ援用研磨法専用の砥石を開発することで、研磨レートを向上させ、原子レベルの平滑表面を実現することを目指します。固定砥粒を用いた高速ラッピングプロセスと合わせて、スラリーを用いない革新的な高能率無歪加工プロセスを構築します。
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