研究課題/領域番号 |
23K13237
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分18020:加工学および生産工学関連
|
研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
神保 康紀 東京電機大学, 工学部, 助教 (70963841)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | 積層造形 / アディティブマニュファクチャリング / 材料押出法 / 移動型造形 / 造形パス / ロボット積層造形 / 加工経路 / 積層造形法 / 加工経路計画 |
研究開始時の研究の概要 |
3Dプリンティングとして知られる積層造形法は,複雑構造の加工による製作物の軽量化などの利点があり,航空分野などで特に注目されている.しかし従来の積層造形装置では,造形寸法が大きくなるほど精度および生産性が低下する.この課題に対し本研究では,インチワーム(尺取り虫)型ロボットに着目し,造形装置自身が加工物に対して移動する移動型積層造形装置を開発する.また,大型機械部品の効率的な製作のための加工経路計画法の提案および評価を行う.
|
研究実績の概要 |
本申請課題は積層造形法の造形サイズの制約を解決するため,インチワーム(尺取り虫)型ロボットに着目した移動型造形装置の開発とその加工経路計画法の確立を目指すものである.積層造形法を用いた機械部品一体製作による,組立工程の削減やサプライチェーンの短縮を目標としている. 製作物の寸法が大きくなるほど造形精度および生産効率が低下するという従来の造形装置の課題に対し,造形装置が製作対象の周りを移動しながら造形する移動型造形装置に着目した.本申請課題では,この造形装置を使用した大型部品一体製作のための造形装置の開発,加工経路計画アルゴリズムの実装,実際の造形による課題解決に対する提案手法の有効性の評価を行う.具体的な造形装置の構想は,インチワーム型ロボットに材料押出ノズルを搭載し,積層造形と装置の移動を同一の機構で達成するものである. 本年度はまず,装置の移動を実現する手段として六脚ロボットを採用し移動型装置における造形可能寸法と造形精度について研究を行った.実際に装置を開発して造形実験を行った結果,装置の移動時のわずかな姿勢変化によって押出ノズルと材料付加の対象物体の角度が変化し,大きな造形誤差につながるとことを明らかにした.また,自身の造形物が移動における障害になり,これが原因で造形精度が低下することも分かった.さらに,加工計画計画のアルゴリズムについて,六脚ロボットを前提として加工経路計画法を複数提案し,経路計画による造形精度への影響について実験を行った.この実験の成果は,国際会議(JSST2023)で発表した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は造形装置の開発および加工経路計画アルゴリズムの構築を予定していた. まず造形装置の開発について述べる.研究開始時に予定してたロボットアームおよび制御マイコン等の電子機器の想定していた経路からの購入がかなわず,装置の移動手段として代替機構の選定などが必要となった.このため,インチワーム型造形装置の開発の大半を次年度行うこととする.代替機として本年度は六脚ロボットを購入し,実験に使用した. 次に加工経路計画アルゴリズムについて述べる.加工経路計画方法を複数提案し,六脚ロボットを使用して実際に造形実験を行った.実験の結果,造形装置の姿勢の誤差が,造形精度に大きく影響することが分かった.この結果は研究の目的である,インチワームロボットを使用した移動型造形装置の加工経路計画アルゴリズムを作成するために有用である.
|
今後の研究の推進方策 |
次年度(令和6年度)は,主に以下の2つについて取り組む.①インチワームロボットを使用した移動型装置の開発,および移動と造形の基礎実験を行う.②経路計画アルゴリズムの実装と造形実験. ①では,5自由度ロボットアームを使用して移動型造形装置を開発する.また,自身の造形物上への移動,造形までを行う移動と造形の基礎実験を行う.②では,①の基礎実験で得られたインチワームロボットの特徴を考慮した加工経路計画アルゴリズムを提案,実装する.この際,ロボットアームを車輪で移動させる造形機構で採用されている加工経路計画方法を参考に,アルゴリズムを構築する. 最終年度(令和7年度)は研究開始時の予定通り,開発したインチワームロボットの移動型造形機と提案した加工経路アルゴリズムを使用した造形実験を行い,提案手法の評価を行う.
|