研究課題/領域番号 |
23K13247
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分18040:機械要素およびトライボロジー関連
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研究機関 | 京都先端科学大学 |
研究代表者 |
出原 俊介 京都先端科学大学, ナガモリアクチュエータ研究所, 助教 (50964467)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 超音波モータ / 圧電アクチュエータ / 多自由度アクチュエータ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,内視鏡への応用を目標に小型多自由度超音波モータの開発を行う.開発する3DoF超音波モータは,1つのステータと二本の出力軸に取り付けられたリンク機構で構成され,リンク機構の先端部が直動,回転,そして揺動運動する.開発した3DoF超音波モータの小型化と評価を行った後に,カメラデバイスと組み合わせて駆動実験を行う.
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研究実績の概要 |
本研究では,単一ステータから直動および揺動運動を行うことができる小型多自由度超音波モータの開発を行う.このモータは、医療用内視鏡の先端など,さまざまな用途のカメラやミラーの視野の拡大機構への応用が可能である.2023年度は,超音波モータの設計および試作を行い,その性能を評価した.提案する超音波モータは三種類の異なる振動モードを同時に励起することで駆動する.そのため,有限要素法に基づくFEM解析を使用してステータを設計し,試作した.圧電素子を含むステータは,高さ10.5mm,幅13.0mm,長さ14.0mmの直方体形状で,直径10mmの半円形の溝がある.溝には2つの半円筒状のスライダが配置され,ステータ振動によって前後方向に動く.2つのスライダの動きは,スライダに接続されたエンドエフェクタを直線運動もしくは揺動運動させる.試作したステータはインピーダンス解析によって評価し,設計通り三種類の振動モードが同時に励起可能であることを確認した.次に,ステータにエンドエフェクタを取り付けたスライダを挿入し,エンドエフェクタの軌跡を高速度カメラで撮影し評価した.エンドエフェクタの軌跡は,リンクの長さとスライダの変位から予測される理想的な軌道とほぼ一致するが,誤差が観察された.これは左右のスライダーの速度が異なるためである.そこで,カメラを使用して画像フィードバック制御システムを構築し,超音波モータの制御を行った.構築した制御システムにより,超音波モータは,エンドエフェクタを直動および揺動運動させ,任意の軌道を描くことができる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は予定通り,超音波モータの設計試作を行い,スライダに取り付けたエンドエフェクタが直動,揺動,および回転動作を行えることを確認した.開発した超音波モータのステータはFEM解析によって,駆動原理であるの振動モードを同時に励起できるように,ステータの各寸法を設計した.また,試作した超音波モータはインピーダンス解析によって各振動モードの共振周波数および共振時の電流を評価し,三種類の振動モードが同時に励起できることを確認した.駆動実験では,出力軸となる二本の半円筒のスライダとエンドエフェクタを組み合わせ,それをステータに挿入して駆動することを確認した.開発した超音波モータは電圧の印加方法を変えることで,想定通りエンドエフェクタは直動・揺動そして,回転動作を行うことを確認した.直動と揺動については,スライダの速度と推力をハイスピードカメラを用いて測定し,評価している.また,超音波モータの制御にも取り組んでおり,カメラで取得したエンドエフェクタの位置をもとに,エンドエフェクタを任意の位置に移動できるモータの制御システムを構築した.構築した制御システムは,超音波モータの直動動作と揺動動作を高速で切り替えることで,エンドエフェクタは平面上に任意の軌道に描くことを可能にした.
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は,多自由度超音波モータの回転動作の評価と超音波モータの出力の安定化に取り組む.エンドエフェクタの回転速度やトルクなどの評価は,ハイスピードカメラを使用して,印加電圧の周波数・電圧振幅の関係を明らかにする.また,超音波モータの安定動作のため,ステータの最適化設計や固定方法の検討を行う.ステータの最適化では,各振動モードの振幅を増大させるために寸法を調整し,モータの出力を向上させる.さらに,ステータの固定方法や治具(ケース)の設計を行い,ステータに励起される振動の抑制を防止する.
また,超音波モータの小型化も検討する.小型化によりステータや出力機構の加工や組み立てが困難になる可能性があるため,加工性などを考慮してステータの形状を変更する.出力機構については,現段階ではエンドエフェクタとしてリンク機構を使用しているが,小型化に伴ってリンク間の摩擦の影響が大きくなり,モータが正常に動かない可能性がある.そこで,エンドエフェクタに弾性材料などを検討し,小型でも十分な動作ができるように設計を行う.
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