研究課題/領域番号 |
23K13273
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分20010:機械力学およびメカトロニクス関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
米沢 平成 北海道大学, 工学研究院, 助教 (50944328)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | パワートレイン / アクティブ振動制御 / ファジィ推論 / ファジィ制御 / 自動車 / 制御工学 |
研究開始時の研究の概要 |
自動車の快適性や走行性能を向上させるためには,パワートレインのアクティブ振動制御系が必要である.しかし,制御系設計やモデル化を困難にする障壁の1つが,時間と共に変動する制御周期であり,これは振動の悪化や制御系の不安定にもつながる.本研究は,人間の柔軟かつ定性的な思考を組み込むことで,時変制御周期を克服したパワートレインのアクティブ振動制御系を提案する.鍵となるアイデアは,モデルベース制御と人間の判断を模したファジィ推論の新しい融合にある.提案手法は,複雑なパワートレインに対して新たな戦略を提示し,日本の自動車産業の発展に貢献できる.
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研究実績の概要 |
本研究では主要な成果として,人間の柔軟かつ定性的な思考をパワートレインのアクティブ振動制御系に導入することで,時変制御周期に対する効果的な補償メカニズムを構築した.具体的には,モデルベース制御器と人間の判断を模したファジィ推論の融合を検討し,その振動制御性能をパワートレイン機構に適用することで検証した.研究の内容としては,最初に部分的なパワートレインの動特性モデルを利用することで,ベースとなる振動制御系を構築した.この制御器は.長く一定の制御周期で適切な制御指令を算出する役割を担う.さらに,1ステップ先の指令値も予測する必要があるため,モデル予測処理を用いた.次に,人間の判断を模したファジィ推論規則と推論方法,およびチューニングパラメータであるメンバーシップ関数について検討を行った.本研究で提案する推論の重要なアイデアは,時間変動する制御周期の特性を一定周期の制御器に対するあいまいさと見なし,ファジィ集合を用いて記述することである.提案手法は人間の直感的思考を推論規則として模倣することで,時間変動する制御入力の更新タイミングに効果的に対処できる.推論手法としては,その優れた計算効率に着目し,先行研究の塚本型推論法が採用された.また,推論規則中で使用する出力変数のファジィ集合を表現するため,簡便な三角形型のメンバーシップ関数を使用した.以上のファジィ推論に基づく提案手法の有効性について,主に時間変動周期制約を設定したパワートレインモデルに基づくシミュレーションによって検証した.様々な条件下で制御性能を考察した結果,制振性能の改善効果が確認された.上記と関連し,基礎となる成果は学会や学術論文等で発表されている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画をふまえて,提案手法の核である人間の柔軟かつ定性的な思考を模したファジィ推論規則の構築と動作確認,ベースとなる振動制御系の検討,パワートレインに設定する時変制御周期制約,制御系の性能確認は遂行できた.以上より,提案手法を構成するアイデアの基礎部分が確立された点において,研究計画は概ね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
今後の検討課題としては,提案手法であるファジィ推論を用いた時間変動周期補償について,より多様な検証条件で制御性能を確認し,さらに詳細な考察を行うことが挙げられる.例えば,プラントの動特性変化や制御周期の変動量をよりシビアに調節することで,制御系のロバスト性をより詳細に確認する.必要に応じて,制御系のチューニングや拡張も検討する.また,ベースとなる振動制御系ついても,改善を見据え検討を試みる.ファジィ推論で用いるメンバーシップ関数や推論手法の選択については,振動性能の改善や制御系の簡便化につながるものがあれば,必要に応じて導入を図る.また,関連する研究成果の対外発表,具体的には学術論文の執筆や学会参加に注力する.
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