• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

ねじ関節が拓く省自由度パラレルリンク機構の運動経路レパートリ

研究課題

研究課題/領域番号 23K13275
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分20010:機械力学およびメカトロニクス関連
研究機関東京農工大学

研究代表者

高田 敦  東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90971424)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
キーワード機構学 / メカニズム / パラレルリンク / 閉ループ機構 / 自動設計 / 機構総合
研究開始時の研究の概要

リンク機構とは関節で繋がれた複数の固い部材が連動して動くもので,電車のパンタグラフ,扉上部のダンパなど身の回りにも多くある.そのうち部材が環をなすものはパラレルリンク機構と呼ばれれる.そして,それらの関節は回転・直動するものがほとんどである.本研究は「ねじ関節」に注目し,今までにないリンク機構の設計方法を確立する.回転を潰れたねじ,直動を伸びきったねじと見れば,ねじ関節は回転・直動関節を包含する一般的な表現である.この利点を活かし,ねじの数学的表現と今まで機械部品として用いられてこなかったねじ関節とを組み合わせ,理論と機械要素の両面から従来にないパラレルリンク機構の実現を目指す.

研究実績の概要

従来,パラレルリンク機構は回転関節,直動関節で剛体リンクをつなぐことで作られてきた.本研究は,この設計問題に回転関節と直動関節を包含するねじ関節を導入し,今まで扱われてこなかった設計空間に新しいパラレルリンク機構を見出すことを目指している.令和5年度は,ねじ関節による座標変換にリー代数を用いてねじ関節からなるリンク機構の運動解析に関わる以下の内容に取り組んだ.
1)ねじ対偶からなる機構の運動解析法の定式化をした.リー代数,指数座標系を用いた表現を導入した.これは,対偶の位置・向き・ピッチを6次元ベクトルで表し,全ての1自由度対偶を統一的に表現できる.運動解析のためのプログラムを整備し,ねじ対偶を含む機構の運動解析や後述する自動設計を行う基盤を整えた.これにより,回転・ねじ・直動関節1つずつからなる差動機構や4個のねじ関節と1個の球関節から成る1自由度機構の運動解析を行った.
2)リンクがループをなすパラレルリンク機構の設計法に先立ち,シリアルリンクの自動設計アルゴリズムを開発した.このアルゴリズムはシリアルリンクの目標経路を与えると,それを辿る関節の位置と向きだけでなく,種類(回転・直動)と数も含めた機構学的な設計パラメータを全て決定する.物体をひっくり返す動作を目標とした例では回転・直動関節を併せ持った5関節リンクが出力された.直動と回転を包含するねじ関節の表現を使うことで,関節の組合せを効率よく探索できる.ねじ関節の位置・向き・ピッチを探索し,回転関節か直動関節か選ぶことで,回転・直動それぞれで位置・向きを探索するより最適化計算の回数を半分にできるためである.今後はパラレルリンク機構の設計方法に拡張する.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1)ねじ対偶からなる機構の運動解析法については計画通りに遂行できた.2)の自動設計アルゴリズムに計画を超えて発展させることができた一方で,ねじ関節要素の運動精度や耐荷重の評価は関節要素の開発が遅れているため実施できず,当初の予定どおりにいかない点もあった.

今後の研究の推進方策

令和6年度では,運動経路レパートリの指標化に取り組む.ある機構が創成可能な運動経路とその集まりであるレパートリをどのように評価するかを考案していく.方策は以下の2つである.
1)本年度に整備した運動解析の基盤を用いて様々な機構の運動解析を行う.これは当初計画していたもので,運動経路のレパートリをどのように評価するかを,多数の設計例で運動解析を行いながら考案していく.目的の作業に応じて運動経路は異なる.例えば,モノを持ち運ぶ動作では端がある開曲線の間欠運動,外観検査では滑らかな閉曲面の連続運動である.機構の種類に応じて,適した作業内容が分類される見込みである.また,運動経路を調整可能な幅の広さも指標の候補としている.レパートリの幅広さの評価はロボットアームの手先可動範囲と同様に,創成される経路の集合を空間的な大きさで評価する.
2)運動経路からそれを創成する機構に分析する.方策1)とは逆に,運動経路を空間自由度に応じて分析し,その経路を創成するのに必要な関節と組み合わせを求める.本年度で取り組んだ自動設計アルゴリズムを活用することができると考えている.また,文献調査の結果,コンプライアントメカニズムと呼ばれる剛体を弾性ヒンジで接続した機構の設計法において,関節の位置と向きの組み合わせと機構の運動を分類した関連研究が見つかったため,リンク機構のレパートリの評価に取り入れる予定である.
以上の2つの方策によって,回転関節ではなくねじ関節だからこそ達成できる運動経路を見出すことが次年度の最大の目標である.また,遅延しているねじ関節要素の開発を進め,運動精度を評価する.

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Automatic Design of Serial Linkage Using Virtual Screw Joint2024

    • 著者名/発表者名
      Takata Atsushi
    • 雑誌名

      Journal of Robotics and Mechatronics

      巻: 36 号: 1 ページ: 149-157

    • DOI

      10.20965/jrm.2024.p0149

    • ISSN
      0915-3942, 1883-8049
    • 年月日
      2024-02-20
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi