研究課題/領域番号 |
23K13280
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分20010:機械力学およびメカトロニクス関連
|
研究機関 | 松江工業高等専門学校 |
研究代表者 |
中西 大輔 松江工業高等専門学校, 電子制御工学科, 准教授 (00806086)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 筋骨格ロボット / 空気圧人工筋肉 / ソフトロボティクス / 自律協調制御 / 拮抗筋 / 脚型ロボット / 細径空圧筋 / 外骨格ロボット |
研究開始時の研究の概要 |
動物のように柔軟な構造や動きを目指し,ソフトロボティクス分野では空気圧人工筋肉(空圧筋)を用いた「空圧筋骨格ロボット」の開発研究が盛んに行われている.本研究では「拮抗筋同士の自律的協調」に着目した空圧筋骨格ロボットの新しい制御法を開発することを目的とする.従来の制御法のように「こう動いてほしい」という目標を与えるのではなく,関節に作用する拮抗筋群が互いに自律的に協調し運動を生み出すメカニズムを制御工学の観点から構築し,歩行や走行といった運動を自律的に生成する制御法を開発する.これにより空圧筋骨格ロボットをよりシンプルかつ多彩に制御可能となり,工業,福祉/人間工学分野への応用などが期待できる.
|
研究実績の概要 |
昨年度筆者は特に(1)拮抗筋の自律協調制御(張力フィードバック協調制御),(2)歩行運動に向けた接地脚モデルの自律協調制御,(3)細径空圧筋を用いたロボットの開発,の3つのテーマに重点をおいて研究を行なった. (1)一対の拮抗二関節筋を有する二自由度遊脚モデルに対して張力フィードバック協調制御を適用し,同制御による自律的な拮抗筋間の協調および周期運動の生成について,シミュレーションおよび実機実験を行なった.特に同脚モデルの拮抗筋における2つの筋肉それぞれに対して異なるフィードバックゲインを設定し,探索パラメータ領域を2次元に拡大して検証を行なった.その結果,拮抗筋が協調しやすいパラメータ領域があることがあきらかとなった.これは脚モデルの自律的制御に対して非常に有益な結果といえる.この結果は今年度学会で発表する予定である. (2)歩行運動を見据え,地面との接地離床を繰り返す四脚歩行動物の後ろ脚を模した4リンク4自由度,二対四筋を有する脚モデルに対して前述の張力フィードバック協調制御を適用し,自律的な拮抗筋の協調による歩行運動の生成についてシミュレーションによる検証を行なった.結果,多自由度多筋の脚モデルにおいても同制御は有効に働き,パラメータを適切に選ぶことで自律的な歩行運動が生成されることを確認した.この結果は昨年度学会にて発表し,優秀講演賞を受賞している. (3)従来の空圧筋よりも細い,直径数ミリ程度の細径空圧筋を筆者の研究室でも内製することに成功した.また細径空圧筋を用いた羽状筋,およびそれを用いた外骨格型ロボットを開発した.これらの結果は今年度学会で発表予定である.また今後は膜筋などへの応用を予定している.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画では,1年目は拮抗筋群を有する単脚モデルについて,2年目は床との接触を含む単脚モデルについて研究を行う予定であった.これに対して筆者は昨年度,2対4筋を有し,かつ地面との接触を考慮した単脚モデルについての研究を行った.その結果,多自由度多筋の脚モデルにおいても提案している張力フィードバック協調制御は有効に働き,パラメータを適切に選ぶことで自律的な拮抗筋群の協調や歩行運動が生成されることを確認した.一方で,パラメータと協調状態の関係の詳細や,制御にどう活かすかという部分については未だあきらかでない部分もある. また,細径空圧筋の内製に成功したため,今後はより多彩な筋肉配置や筋骨格モデルを扱えるようになることが期待される. これらのことを総合した結果,総じて期待通り研究が進展していると言える.
|
今後の研究の推進方策 |
今後は研究計画に従い,床との接触を含む単脚モデルについての研究を引き続き進める.また昨年度の筋群の自律的協調についてさらに詳細に検証し,脚ロボットの自律的制御にどのように活かせるかについて考察を進める. また細径空圧筋を生かし,より生物に近い構造の脚モデルについても検討したい.
|