研究課題/領域番号 |
23K13283
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分20020:ロボティクスおよび知能機械システム関連
|
研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
戸森 央貴 山形大学, 大学院理工学研究科, 助教 (30783881)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | 人工筋肉 / 空気圧 / パワーアシストスーツ |
研究開始時の研究の概要 |
農場や工場での作業において腰や膝の負担を軽減するためのアシスト装具を開発する。サポーターと異なり人工筋肉を搭載しており、柔軟な装着感でありながらアクティブに補助力を発揮することができる。本研究では高い補助効果を発揮できる装具の機構を開発し、装着者の筋肉の活動量を計測することで補助効果を計測する。また、人工筋肉は非線形性や応答遅れなど制御を困難にする特性を有しており、携行可能な空気圧供給源の開発等の課題もある。本研究では人工筋肉の特性を考慮した制御手法や小型空気ポンプの設計も進める。
|
研究実績の概要 |
農場や工場での作業では腰や膝に負担のかかる姿勢が多く、腰痛や膝痛などの原因となっている。解決策のひとつにパワーアシストスーツがあるが、硬い部材を身体に取り付ける外骨格型が多く、高重量化や動きにくさなどに課題がある。そこで軽量、柔軟、高出力密度な空気圧ゴム人工筋肉を利用し、硬い部品を使用しない内骨格型の補助装具の開発を行う。 本年度は装具が補助力を発揮するための機構設計と試作を進めた。基本コンセプトは人体表面に人工筋肉を配置するものであり、補助対象となる部位の筋配置を参考にしている。初期試作として下肢の補助機構を開発しており、単一の人工筋肉が複数の関節を跨ぐ構造を採用した。これにより構造の複雑化を回避し省アクチュエータ化を実現した。さらに、「物体の持ち上げ等の作業は下肢だけでなく背筋など他の筋肉との連携によって行われる」という医療分野からのフィードバックを受け脊柱起立筋の補助も追加した。さらに配置した人工筋肉が膝周りに発生させるトルクの計算モデルを構築し、必要な人工筋肉の出力を計算可能にした。 続いて、本装具に適した人工筋肉の検討を行い、従来の人工筋肉と異なる構造を有する状態遷移式人工筋肉を開発した。これは従来の人工筋肉に比べ伸びやすい特徴を有しており、人工筋肉としての強い収縮力と衣服のようなフレキシブルさの二面性を持ち合わせる。前述のモデルによる出力計算と出力特性実験により、本人工筋肉が装具に必要な収縮力、収縮量、伸びを有していることも確認している。 現在は装具の補助効果を実験的に調査中であり、この結果を基に装具の改良を進める予定である。本装具の社会実装を実現することで一次産業を支える労働者の離職軽減や労働人口増加に貢献できると考えている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度に計画していた試作装具の開発ではおおむね構想通りに開発を進めることができた。ただし、本学医学部で受けたフィードバックを基に補助部位に脊柱起立筋を追加するなど、予定外の開発事項もありスケジュールに多少の影響が出た。 また、補助効果の定量的な評価については表面筋電位計に加えて重心動揺計と心拍計を導入し、疲労による影響も検証した。この結果は当初の予想と異なり、筋活動量には補助の有無による明確な差異が見られなかった。一方で、補助を行った際に重心動揺や心拍は低減する傾向が見られ、疲労軽減効果があると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度の検証実験結果では筋活動量、重心動揺、心拍数で補助効果を評価したが、評価項目によって評価が分かれた。これを受けて、従来の外骨格型が短期的な筋活動量で効果が見られるのに対し、内骨格型は長期的な疲労に対し効果がみられるのではないかと考えている。 次年度は人工筋肉の特性を考慮した制御手法の確立や、空気消費量の削減を目指す。また、本装具の補助効果を詳細に調査し、適切な評価手法を確立することも目指す。
|