研究課題/領域番号 |
23K13299
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分20020:ロボティクスおよび知能機械システム関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
八瀬 快人 近畿大学, 理工学部, 助教 (50963899)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 人工筋肉 / 電気駆動 / 受動的柔軟性 / アクチュエータ / 磁気バネ / McKibben型空気圧ゴム人工筋 |
研究開始時の研究の概要 |
マッキベン型人工筋肉は,構成部材の柔軟さと空気の圧縮性によるバネ要素により高い人間親和性を獲得している.しかしながら,駆動システム(コンプレッサやタンク,バルブ)によってサイズと重量が課題となり,携行性に乏しい.そこで本研究では,磁力によるバネ要素を利用した電気駆動型の人工筋を構築することで上記の課題を解決することに挑戦する.そのためにフィルム状の電磁石と繊維を利用した柔軟な倍力機構を製作する.
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研究実績の概要 |
本課題は,受動的柔軟性を有する電気駆動の人工筋肉の開発を目指している.この人工筋は対抗した柔軟なフィルム状電磁石の斥力によって駆動し,その出力はパンタグラフ状に織り込んだ樹脂繊維(倍力機構)と組み合わせて増幅される.これにより,構成部材の柔軟性,磁気によるバネ特性,高いバックドライバビリティを有するアクチュエータを実現する.
今年度は,人工筋に使用する柔軟なフィルム状電磁石の製作手順,および柔軟な倍力機構となるパンタグラフ機構の検討を行った.フィルム状のコイルは,Agペーストをインクジェットプリンタから出力して印刷するため,数種のAgペーストインクを購入し印刷幅と抵抗値の確認を行った.印刷後に焼結炉にて熱処理を施す必要があり,焼結温度と加熱時間によって抵抗率が変化するため,最適な条件を模索中である.製作後には時間経過によって抵抗値が変化する.これは硫化が原因と考えられるが,印刷後のシリコーンゴム被膜により,抵抗値変化を軽減できることが確認できた.また,実験環境を構築するため,事前準備として,エナメル線を用いたコイルを複数個試作し,倍力機構に搭載する時の膨張動作が得られるか確認した.試作したコイルには,モータードライバL298Nを接続しArduinoから出力するpwm信号により入力する電流を調節した.これによって対向した2つのコイルが反発する動作が得られ,フィルム状電磁石を用いる時の実験環境を整えることができた.磁石が生じる吸着力,斥力は対象との間の距離が増加すると著しく減少するため,収縮変位に対するフィルム状電磁石間の距離変動が少なくなる2種類の配置を検討した.また,柔軟な倍力機構の検討中に,新たに電気駆動の人工筋肉の駆動手法を考案したため,これに関する学会発表,特許出願を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フィルム状電磁石の製作,および後処理の手順は確立しつつある.また,モータドライバを用いた電流制御による磁力の調節と,人工筋を構築した時の収縮力の測定環境も整っている.
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今後の研究の推進方策 |
柔軟コイルは多層化することで生じる磁力の増加が見込める.そのため,コイルを印刷したフィルム同士を熱圧着して収縮力の向上を目指す.また,実際に人工筋を構築するためにコイル寸法と巻き数を決定する.コイルは裁断機などを用いて大きさを統一しシリコーンゴムリングを用いて等間隔で固定する.人工筋を用いた実験では,収縮力特製を確認することと,入力する電流の向きによって磁極が切り替わることから,コイルを対向させることで収縮動作だけではなく,いち早く自然長に復元させることも可能であると考えられるため,駆動速度についても確認する.
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