研究課題/領域番号 |
23K13313
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分21010:電力工学関連
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研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
林 真一郎 千葉工業大学, 工学部, 助教 (80964064)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | パワーエレクトロニクス / パワーデバイス / ゲート駆動回路 / 加速劣化試験 / 長期信頼性 |
研究開始時の研究の概要 |
インバータ装置は,小型化が至上命題であるが,パワー半導体デバイスの冷却器が体積の多くを占める課題がある。そこで本研究では,インバータ装置の負荷率が高い時のみパワー半導体デバイスの性能を最大限発揮させ,損失の最大値を低減する「高効率動作モード」を提案する。そのために,インバータ装置の設計寿命に基づき,パワー半導体デバイスの寿命と性能を最大限活かせる駆動回路設計手法の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
パワー半導体デバイスの寿命と性能を最大限活用できる駆動回路を開発するためには,①「従来より正確な寿命評価試験方法の確立」と②「性能を引き出せるゲート駆動回路の開発」の2つの要素が必要となる。 ①「従来より正確な寿命評価試験方法の確立」については,現在までにパワー半導体デバイスのゲート酸化膜を対象とした長期信頼性試験の実施が可能な環境を構築した。構築した試験環境の妥当性を検証するため,SiC MOSFETを被試験デバイスとして従来の長期信頼性試験手法と同等の試験(高温ゲートバイアス試験)を実施した。試験結果から得られたワイブルプロットを解析したところ,被試験デバイスの寿命を評価できる摩耗故障領域での故障時間が得られたことが明らかとなった。以上より,構築した試験環境の妥当性が検証でき,提案する新たな長期信頼性試験手法の検討準備が整った。 ②「性能を引き出せるゲート駆動回路の開発」については,現在までに回路構成の検討およびプロタイプの開発が完了している。本研究の提案する「高効率動作モード」は,インバータ装置の負荷率が高いときのみゲート駆動電圧を高く設定し,パワー半導体デバイスの性能を最大限発揮させることを目標としている。この目標を達成するために,ゲート駆動電圧を任意に設定可能な駆動回路のプロトタイプを開発した。プロトタイプの実験結果より,設計通り駆動電圧を任意に設定できることが検証できた。一方で,ゲート駆動電圧のスルーレートが,従来の値よりも低下してしまう新たな課題が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
①「従来より正確な寿命評価試験方法の確立」において,長期信頼性試験の試験時間が想定よりも長くがかかってしまったため,当初の計画よりも遅れて進行している。 対応策として,2024年度に実施予定であった②「性能を引き出せるゲート駆動回路の開発」を前倒しして取り組みを開始した。一方で,前述の通りゲート駆動電圧のスルーレートが,従来の値よりも低下してしまう新たな課題が明らかとなったため,予定よりもやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
①「従来より正確な寿命評価試験方法の確立」については,試験環境の構築が完了したため,提案する新たな試験手法の検討を進めていく。提案する試験手法は,パワーデバイスの高温ゲートバイアス試験において,従来より実使用動作に近い条件で加速劣化できる特長を有する。2024年度は,提案する試験手法を実現するための試験回路を開発する予定である。開発する試験回路は,広範囲の試験条件に対応できること,および1度に複数のサンプル(SiC MOSFET)の試験が実施できることを目標としている。回路シミュレーションによる動作検証に着手しているため,今後はプロトタイプの製作および実験による評価を実施していく。 ②「性能を引き出せるゲート駆動回路の開発」については,これまでの開発で明らかとなった課題を解決していく。ゲート駆動電圧のスルーレートが,従来の値よりも低下したことは,増幅回路に使用したバイポーラトランジスタが原因であると考察している。そこで,バイポーラトランジスタをより高速な動作が可能なMOSFETに変更する予定である。
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