研究課題/領域番号 |
23K13320
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分21010:電力工学関連
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
村上 祐一 名城大学, 理工学部, 准教授 (80806498)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 冷凍殺菌 / 直流電圧 / パルス電圧 / 電界殺菌 / 冷凍電界殺菌 / 冷凍保存 / 表面殺菌 / 内部殺菌 |
研究開始時の研究の概要 |
食品の冷凍保存技術は,低温にて微生物の増殖が停止することや化学反応進行が遅くなることを利用している。この冷凍保存時において,有害な微生物を滅菌できるならば,我々の食への安全はさらに保障され,食品保存期間の延長も期待される。本研究では,冷凍および電界を用いた固体食品の低温殺菌技術の開発を目的とし,氷や食品を模擬した固体表面および内部の冷凍電界殺菌実験を実施する。そして,得られた知見から冷凍電界殺菌の高殺菌条件やその殺菌機構を検討する。
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研究実績の概要 |
本研究では,食品のロス低減のために冷凍による長期保存に加えて,電圧印加による高い殺菌効果を有する食品長期保存システムについての研究を実施している。R5年度では,水産業分野に本技術を展開するために海水を模擬したNaCl水溶液を実験試料とした。模擬海水試料は,0.01mol/LのNaClよりもインピーダンスが低いため,-20℃の冷凍庫内では低い電圧の印加により大きな電流が流れ,氷中の大腸菌を殺菌することができた。一方,本年度予算にて購入した-60℃の冷凍庫内では模擬海水試料の大腸菌の殺菌は余りできなかった。今後は,直流高電圧発生装置を作製し,-60℃以下の冷凍環境における冷凍電界殺菌を実施する。次に模擬海水に凍結保護剤のグリセロールおよび殺菌効果を持つエタノールを混合させた試料内の大腸菌の冷凍電界殺菌実験を実施した。グリセロール(50wt%)を混ぜた試料では,無添加のものと比べて冷凍のみおよび冷凍電界による殺菌効果が低くなった。エタノール(20wt%)混合では,冷凍,エタノールおよび直流電圧印加の相乗効果が認められ,高い殺菌効果を得ることができた。以上のように冷凍電界殺菌の殺菌効果には,試料を構成する成分も関与することが示された。 次に冷凍電界殺菌の殺菌機構解明のために,大腸菌を含むNaCl試料に対して,冷凍電界殺菌における直流電圧印加前後にパルス電圧を印加した。その結果,パルス電圧(5kV,4μs)を凍結直前(0℃程度)および解凍後(0℃程度)の液体状態に100回印加した場合,パルス電圧無印加のものよりも高い殺菌効果が得られた。一方,パルス電圧を凍結後(-20℃程度)の固体状態に100回印加した場合,パルス電圧無印加のものとほとんど同じ殺菌効果であった。以上より,液体状態の試料にパルス電界を印加して冷凍電界殺菌をすることで高い殺菌効果が得られることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
R5年度では当初の計画通り,凍結した模擬海水試料中における大腸菌の冷凍電界殺菌に及ぼす試料を構成する成分および温度の影響や,冷凍電界殺菌とパルス電圧印加による相乗効果の検討を実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
R6年度では,当初の計画通りに冷凍環境下における固体表面の大腸菌殺菌に関する研究を中心に遂行する。R5年度に予備実験を実施したため,そこで得られた知見を活かし,当初の計画以上の成果をあげる。また,R5年度の研究から得られた課題についても引き続き取り組む予定である。
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