研究課題/領域番号 |
23K13322
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分21010:電力工学関連
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研究機関 | 長崎総合科学大学 |
研究代表者 |
梶原 一宏 長崎総合科学大学, 工学研究科, 講師 (10779937)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | POL電源 / ディジタル制御 / 電力変換 |
研究開始時の研究の概要 |
通信衛星のLSI(大規模集積回路)に電力供給を行うPOL(Point of Load)電源の課題は,通信容量拡大に向けた大電流化および高速応答への対応である。その際,衛星という限られた容積の中では,POL電源の大電流化を図りながらも小型軽量化も進める必要がある。本研究は,宇宙環境で動作可能な低機能素子を用いて小型化を図りながら出力の大電流変動に対応した超高速応答ディジタルPOL電源を開発し,その基盤となる回路・制御技術を確立することを目的とする。これにより,社会インフラとしての役割が加速する通信衛星の性能を大きく向上させることが可能となる。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,低機能なFPGAを用いて宇宙用途で未だ実現されていないディジタル制御方式による超高速応答大電流POL電源の開発である。これまでのディジタル制御電源は主に数十kHz~数百kHzで動作しており,ディジタル制御部が電源の高周波化に追い付いていないため,負荷急変時に高速応答が実現できない。また,これまで予備実験で得られた1MHz駆動のディジタルPOL電源はSi-MOSFETを使用しており,最大電力効率は83.4%と低かった。さらに,これまでの宇宙用POL電源の最大電流は3Aと小さく,小型化を図りながら大電流化に対応しなければならない。 本年度はまず,最大出力電流を10AとするGaN-MOSFETを用いた出力1.2VのPOL電源におけるデバイス調査および回路設計を行った。また,宇宙用POL電源ディジタルピーク電流モードにおける電流検出器のパラメータ設計を行った。提案手法では,電流検出用A-D変換部をRC積分回路,コンパレータおよびR-Sフリップフロップといったアナログ回路で構成することで,高性能なA-D変換器を用いることなくリアルタイムに電流検出を行うことができ,大きな負荷変動に対しても高速応答が可能となる。一方で,これまでの研究でPOLのような大電流用途に対しては十分な静特性および動特性が得られないという課題があった。ここでは,コンパレータに入力される直流電圧の大きさを可変にすることでこの課題を克服し,大電流化に対応した設計手法を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
GaNを用いた1.2V出力POL電源の効率検討・回路設計の基礎部分については完了した。一般に得られる素子のデータだけでは高い精度で全負荷での効率検討は難しく,今後は実際のデータによる動作解析を詳細に行う必要である。これにより、ディジタルPOL電源がどこまで高周波化に対応できるかを詳細に検討していきたい。高速応答ディジタル制御方式となる提案のピーク電流モードの制御特性の検証に関しては,大電流化へ対応した方式を示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後はPOL電源単体での設計を完了させ,並列動作時の安定動作について検討を行い,更なる大電流化に対応可能なPOL電源の設計を行う。その際に課題となるマルチフェイズ動作時の電流モード制御方式の設計手法,大電流化に対する過渡特性の検証,出力電流バランス特性や量子化誤差による影響を明らかにする。
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