研究課題/領域番号 |
23K13325
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分21010:電力工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
山口 大輝 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 研究員 (10870230)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | パワーエレクトロニクス / ゲート駆動回路 / SiC MOSFET / 電力変換回路 / パワーデバイス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,SiC MOSFETの高速スイッチング時に生じるサージ電圧を低減するために,新しいアクティブゲート制御とその駆動回路を提案する。提案法は,アクティブゲート制御のパターンを理論的に設定する点に特徴があり,コンピュータによる探索で設定していた従来法に比べ制御パターンを大幅に簡略化し,アクティブゲート駆動回路の回路規模を低減することが期待できる。初年度は,提案制御を実現するためのアクティブゲート駆動回路を開発し,2年目に実験で提案法の妥当性とその効果を確認する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,SiC MOSFETの高速スイッチング動作に適したアクティブゲート駆動技術を開発することである。これは,MOSFETがオン状態からオフ状態に遷移する期間のうち,数十nsの区間のみ一時的にゲート抵抗を増大するようにアクティブゲート制御する点に特徴がある。これにより,積極的にゲート抵抗を変化させる従来法に比べ単純な方法でアクティブゲート制御を達成することが可能であり,アクティブゲート駆動回路と制御器の回路規模を低減してコスト低減を図ることができる。 本研究課題の目標は,提案するアクティブゲート駆動法の効果を理論と実験の両面から明らかにすることである。2023年度は,実験回路の設計・制作と動作特性の理論的な検討を行った。ここでは,ターンオフ時のサージ電圧がMOSFETの出力容量と主回路の浮遊インダクタンスの共振現象により生じることを理論的に解明し,適切なアクティブゲートのタイミングについて検討した。その結果を踏まえて,提案するアクティブゲート制御法の回路定数やパターンの設定指針を明らかにし,実験回路の制御器およびゲート駆動回路の仕様を決定した。 次に実験回路を試作し,サージ電圧やスイッチング損失を測定してアクティブゲート駆動回路の基本的な動作特性を評価した。ここでは,三相400 V, 15 kW級の三相インバータへの応用を想定して1200 V, 60 A級のSiC MOSFETを採用し,ハーフブリッジ型の試験回路を制作した。最後に降圧チョッパ試験を実施して基本的な動作特性を確認し,作成したアクティブゲート駆動回路が正常に動作することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り,アクティブゲート駆動回路を設計・制作し,実験システムを構築することができた。これは,15 kW級の系統連系インバータやモータ駆動回路などの実回路への適用を想定した実験システムであり,産業応用の視点から提案法を評価するものである。この実験装置を使用して基本的な負荷試験である降圧チョッパ試験を行い,良好なアクティブゲート制御の結果を得ることができたので,研究は「おおむね順調に進展している」と自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
前記の「現在までの進捗状況」で説明したとおり,本年度は降圧チョッパ試験を完了することにより,研究は「おおむね順調に進展している」と自己評価している。この成果は,降圧試験による定電流負荷時のアクティブゲート制御の結果を踏まえたものであるが,本研究の産業的な価値を高めるために,今後はインバータのように負荷電流が変動する場合におけるアクティブゲート制御技術の確立を目指す。 そこで,今後は理論解析やシミュレーションを行い,変動負荷条件下におけるゲート駆動特性の電気的な特性を解明する。そのうえで,提案するアクティブゲート制御法をインバータに適用するための制御アルゴリズムを確立し,実験的検証を行う予定である。
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