研究課題/領域番号 |
23K13335
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分21020:通信工学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高橋 拓海 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (40844204)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 大規模IoT通信 / 非直交多元接続 / 確率伝搬法 / 双線形推論 / 繰り返し推定 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、安価なモジュールで構成されたRF (Radio-Frequency) デバイスを搭載するIoT端末が存在する環境において、受信機が数十から数百オーダーの端末と上り回線の非直交多元接続を実現するための、ハードウェア不完全性を考慮した信号検出技術の確立である。ハードウェア不完全性の問題は、無線IoT通信における実用上避けられない問題であるにも関わらず、信号検出を扱う従来研究では理想化されていることが多い。本研究ではこの問題に対する解決策を与え、未来社会の情報基盤技術としての次世代移動体通信を下支えする基盤を創出する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、超多数の無線IoT端末との非直交多元接続を介して、現実世界の情報を仮想空間へ伝送・集約する上り回線の無線通信技術の高度化を実現し、未来IoT社会を下支えする情報基盤技術を創出することである。本研究は、課題1: 大規模信号検出のための確率伝搬法に基づく双線形推論アルゴリズムの開発、課題2: 信号構造に基づくパラメトリック双線形推論への拡張、課題 3: アルゴリズムの数理/学習最適化と総合評価、の3つの課題により構成され、2023年度は課題1と課題2を中心に研究を実施した。課題1では、従来法よりも優れた性能と計算量のトレードオフを達成する双線形推論アルゴリズムを提案し、少ない通信オーバーヘッドで動作する高精度なMIMO (Multiple-Input Multiple-Output) 受信機設計が可能となることを示した。本研究成果は、IEEE Transactions on Communicationsに掲載されるに至っている。一方、課題2では、高速移動体通信での利用が期待されるOTFS (Orthogonal Time Frequency Space) 方式において、課題1で提案した手法をパラメトリック双線形推論へ拡張することで、通信路推定に必要なパイロットオーバーヘッドを大幅に削減できることを示した。本成果は国際会議 (IEEE CCNC 2024) で発表し、現在、論文投稿の準備を進めている。他にも、安価なRF (Radio-Frequency) デバイスを搭載したIoT端末の存在下において、ハードウェア不完全性に起因した性能低下を補償する手法についても研究成果が出始めており、この成果は2023年度に国内会議で発表を行い、現在、IEEE論文誌へ投稿中である。2023年度の出版・発表済みの研究成果として、論文誌1編、国際会議4件、国内会議8件を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本課題の根幹を成すアルゴリズム開発を目的とした課題1の研究成果は、IEEE論文誌に掲載されるに至っている。また、令和6年度から本格的な実施を予定していた課題2についても、当初期待していたよりも優れた結果が出ており、すでに国際会議発表および論文誌への投稿を済ませるなど、当初の計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画に従い、2023年度に得られた研究成果を発展させ、ハードウェア不完全性を考慮した双線形推論アルゴリズムの開発と受信機設計を行い、実用的な大規模・非直交多元接続を構築するための基礎理論・技術を確立する。
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