研究課題/領域番号 |
23K13336
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分21020:通信工学関連
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研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
木下 雅之 千葉工業大学, 工学部, 准教授 (80845149)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 可視光通信 / イメージセンサ / ローリングシャッタカメラ / 可視光ID / 空間並列伝送 / 並列遅延伝送 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,一般的なスマートフォンに搭載されるローリングシャッタカメラを受信機に用いた可視光通信の高度化について検討する.ローリングシャッタ型可視光通信の課題として,通信距離とデータレートのトレードオフが挙げられる.本研究では複数LED送信機を活用し,ある1つの送信信号に対して,異なる遅延を与えた信号を複数LEDで並列伝送する並列遅延伝送を提案し,通信距離の拡大と通信誤りの改善することでトレードオフの緩和をし,そのサービス用途拡大を目指す.
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研究実績の概要 |
本研究では,送信機にLED光源,受信機にローリングシャッタカメラを用いたローリングシャッタ型可視光通信を扱う.ローリングシャッタカメラは,行ごとに撮像タイミングが異なることから高速変調された光信号を縞状のパターンとして画像上で捉えることができる.この特性からカメラ受信機の課題であったデータレートの大幅な向上が可能となる.一方で,ローリングシャッタ型可視光通信の課題として,通信距離とデータレートのトレードオフが挙げられる.通信距離が延びるにつれて画像上での LED の投影面積が縮小するため,LED を捉える縞の数が減少しデータレートが低下してしまう.そのため,所望のデータレートを達成するために十分な縞の数を投影できる通信距離を保つ必要があることから,ローリングシャッタ型可視光通信は,かつ静止環境に利用シーンが制限されてしまう. 上記の課題に対し,本研究では送信機に複数の LED 光源を活用した空間並列伝送を行うことで,通信距離の拡大を目指す.具体的には,ある1つの送信信号に対して,異なる遅延を与えた信号を複数LEDで並列伝送する並列遅延伝送を提案する.これにより,遠距離通信において,LEDの投影面積が縮小し(縞の数が減少し),送信信号が欠損したとしても,遅延信号が欠損部分を補完できるため,従来よりも少ない縞の数で所望のデータレートを達成する通信距離の拡大が可能となる. 令和5年度は,2つのLEDを用いた並列遅延伝送の屋内通信実験を行い,通信距離の拡大を確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ローリングシャッタ型可視光通信における通信距離拡大のために,2つのLEDを用いた並列遅延伝送を検討し,屋内通信実験を行った.所望データレートを800bpsに設定した場合,従来の単一LEDでは70cmまで達成できるのに対し,2つのLEDによる並列遅延伝送では110cmまで達成可能であった.また,所望データレートを400bpsに設定した場合では,単一LEDは150cmまで達成できるのに対し,並列遅延伝送は210cmまで達成可能であった.以上の結果から,並列遅延伝送による通信距離拡大の有効性を確認した.
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度の検討では,並列遅延伝送に使用したLEDは2つであったが,LEDの数を増やすことでさらなる通信距離の拡大を目指す.また,科研費若手研究(21K14159,2021年4月-2023 年3月)で検討した重畳繰返し伝送と並列遅延伝送の組合せについて検討し,通信距離の変化に柔軟かつ広範囲なサービス提供を目指す.
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