研究課題/領域番号 |
23K13338
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分21020:通信工学関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
新井 麻希 東京理科大学, 工学部電気工学科, 助教 (70881621)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
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キーワード | ビームフォーミング / Massive MIMO / 誘電体レンズ / 無線通信 / アナログ給電回路 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,無線通信基地局でのビームフォーミングに必要な信号位相調整部の構成簡易化のため,球型レンズを用いたアナログ給電回路に関する検討を行う.球型レンズを用いたアナログ給電回路の入出力ポート間伝搬路の振幅および位相特性を測定し,理論式と測定値との比較を行い,理論式が正しく実際の伝搬路特性を表現できているかどうかを明らかにする.本研究成果は球型レンズを用いたアナログ給電回路によるビームフォーミングの無線通信システム容量改善効果を示すことにつながり,将来無線通信システムのさらなる大容量化への貢献が期待される.
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研究実績の概要 |
基地局と多数の端末間で同時に無線通信を行うため,水平および垂直の両方向へのビームフォーミングを実現する球型レンズを用いたアナログ給電回路に関する理論解析および数値解析を実施した.本年度はシステム全体の通信路容量(基地局と全端末間の通信路容量の合計)を最大化するための最適な入出力ポート配置の検討と入出力ポート間の伝搬路測定のための測定系構築を行った. 最適な入出力ポート配置に関する検討に関しては,まず球型レンズを用いたアナログ給電回路の出力ポートに接続されるアンテナ構成を定義した.そして本給電回路の入出力ポート間伝搬路の理論モデルに従い,入出力ポート間伝搬路の振幅および位相の理論値を導出した.得られた振幅および位相の理論値から,本給電回路により形成される複数方向への高利得ビーム放射パターンの理論式も導出した.この理論式から,見通し環境でのシステム全体の通信路容量を最大化する目的関数を導出し,出力ポート構成に対応した最適な入力ポート配置を導出するための定式化を完了した.次に,第5世代移動通信システムで使用される準ミリ波帯の極小スポットセル環境,および出力ポート側に平面アレーアンテナを接続する構成を想定し,基地局から複数端末との間の通信路容量特性の数値解析を行った.その結果,入力ポートの配置間隔に応じて通信路容量特性が変化することを確認するとともに,目的関数を最大化する最適な入力ポート配置間隔を明らかにした. 伝搬路測定のための測定系構築に関しては,測定器の選定と調達を行い,調達したベクトルネットワークアナライザを使用して,研究室に設置された電波暗箱内で伝搬路測定を行うための実験環境を構築した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究目標は,「システム容量を最大化する入出力ポート配置の決定」と,「球型ルーネベルグレンズの入出力ポート間伝搬路の測定系構築」である. 「システム容量を最大化する入出力ポート配置の決定」に関しては,第5世代移動通信システムで使用される準ミリ波帯の極小スポットセル環境,および出力ポート側に平面アレーアンテナを接続する構成を想定し,出力ポートの構成に対応した最適な入力ポートの配置を決定でき,当初の目標を達成できた. 「球型ルーネベルグレンズの入出力ポート間伝搬路の測定系構築」に関しては,研究者の所属変更に伴い,測定実施場所を電波暗室から現在の所属研究室に設置されている電波暗箱へと変更したが,遅滞なく測定系の構築を行うことができた. 以上の成果より,本年度の研究目標を達成し,次年度の研究遂行および目的達成のために十分な進捗を得ていることから,本研究はおおむね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策について,次年度は,本年度中に得られた最適な入力ポート配置間隔を用いた場合の入出力ポート間伝搬路測定を実施する.得られた測定結果と理論値との比較を行い,球型レンズによるアナログ給電回路の理論モデルの妥当性を検証する.
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