研究課題/領域番号 |
23K13342
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分21030:計測工学関連
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研究機関 | 埼玉工業大学 |
研究代表者 |
古川 靖 埼玉工業大学, 工学部, 教授 (20730170)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
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キーワード | 光ファイバ測距計 / レーザ干渉計 / 光ファイバ / 測距計 / 周波数変調 / 空間分解能 / 距離ダイナミックレンジ |
研究開始時の研究の概要 |
従来のレーザ光干渉計において、測定対象に照射して戻るサンプル光と光源から分岐した参照光との干渉光強度から光路長差を距離測定できることはよく知られている。だが、波長で決まる干渉縞は一定であるため、空間分解能と距離ダイナミックレンジは変えられず相互にトレードオフがあった。 本研究では、レーザ注入電流を正弦波で周波数変調し、変調信号の周波数と振幅を制御することで干渉縞ピークの位置や間隔を任意に変化させ、干渉光強度と距離の関係を操り、測定の空間分解能と距離ダイナミックレンジを動的に更新する。これにより、狭い距離を高空間分解能で測定したり、低めの空間分解能で広い距離範囲を測定する柔軟な測定が可能になる。
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研究実績の概要 |
概要としては、現時点では測距システムの試作途中にあり、進捗計画よりも遅延している。 実績については、(1)レーザダイオード(LD)光源およびその駆動回路(LDD)について、直流特性、周波数変調(FM)特性などの基本的な特性を測定した。測定系の性能から十分な精度がまだ得られていないが、空間分解能などにおよその目安をたてることができた。(2)光源を接続する光学系としてマイケルソン干渉計とマッハツェンダ干渉計(MZI)の構成を試し、片側アームに遅延ファイバを配置し、他方のアームに被測定物(リニアステージ上に設置した金コートミラー)へ照射する空間光路を設けた。各アームからの光をフォトダイオードで受光することで干渉信号を生成し、オシロスコープで電気波形を観測することができた。(3)光源の変調周波数を変えることで受光振幅が変わる様子がみられ、測距への適用可能性があると考えられる。 上記は過去の研究において行ったものと同様のことをしているが、所有する機材が過去と異なっており手持ちの光学部品を使うなどしているため、いくつかの点で最適な状況にはなく手間取っている状況である。(1)LDの基本特性が最適に把握できていないため、AMとFMの影響を十分に検討することができていない。(2)干渉波形に遅延ファイバの多重反射と思われる不要なノイズを出している。(3)被測定物からの空間光の戻り光強度が不十分である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
原因としては、機材の準備不足によるところがある。 ①.LDおよびLDDの基本特性を測定するにあたり、当初計画していた光スペクトラムアナライザ(OSA)を入手できず時間を要した。現在は既所有品の波長分解能が1桁悪い旧式OSAで測定しているが、今後の改善が必要である。 ②.光学系に配置した既所有品の遅延ファイバが両端ともFC/PCコネクタであり、干渉波形に悪影響している。他に適当な光ファイバを用意できておらず、検討に少し時間を要した。今後の改善が必要である。 ③.リニアステージ上のミラーからの反射光パワーが小さいが、空間光の調整ステージを所有していないため、実験に時間を要した。今後の改善が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
前記遅延理由を改善すべく下記を行い、計画の挽回を推進する。 ①.波長分解能0.03nm程度のOSAを購入することで、LD光源の周波数変調特性を精緻に測定し、AMとFMの影響について理論的な検討と設計を進める。また、LDDの駆動感度が高すぎるので、別のLDドライバへの変更を検討する。これらにより、リニアステージの移動量にみあった適切な空間分解能を設定できるようにする。 ②.光学系については、遅延ファイバ両端のコネクタを変更、もしくは遅延ファイバを新規購入することで、干渉波形の多重反射ノイズを低減する。 ③.既に購入したEDFAにより信号光を増幅してSN比を改善するほか、DCから少しずらした周波数で測定することで1/fノイズを回避することもあわせて検討する。
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