研究課題/領域番号 |
23K13370
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分21050:電気電子材料工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
松村 亮 国立研究開発法人物質・材料研究機構, ナノアーキテクトニクス材料研究センター, 主任研究員 (90806358)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 結晶成長 / 半導体 / 光デバイス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではシリコン大規模集積回路(Si-LSI)の持続的な性能向上のため、良好な電子・光学特性を有するゲルマニウム(Ge)系材料を用いた光電融合デバイスの基盤技術確立を目的とする。絶縁膜上でのGe系薄膜の高品位形成や周期的ナノ構造への発展、そしてデバイス実証を目指し、申請者の有するシーズ技術を融合させて研究を進める。これにより、チップ間光通信素子だけでなく、高集積なチップ内部にまで発受光素子を集積することが可能となり、光のみで演算する光LSIや、高集積かつ室温動作可能な光量子LSIなど、従来のロードマップに載らない新構造・原理のLSIへの発展をも可能とする基盤技術の実現を目指す。
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研究実績の概要 |
光電融合デバイスへの応用のため、Ge系光学薄膜材料の研究開発を行っている。申請者は非熱平衡な高速CWレーザーアニール法により、高い伸長歪と熱平衡固溶度を超える元素導入を両立したGe系薄膜を実現している。昨年度はこの手法により、Ge系薄膜中への高濃度n型ドーピングおよび活性化による光学特性の向上を目指した。条件を最適化することにより、70%以上の活性化率による高キャリア濃度(~10^20 cm^-3)と高伸長歪を両立するn型Ge系薄膜の結晶成長を実現した。これは、報告されているGe系薄膜材料の中で最も高い活性化率とキャリア濃度である。また、これに伴い、Ge系薄膜材料の発光特性を評価したところ、従来のGe系薄膜の10倍以上の発光効率を有することも示すことができた。これらの成果は、近赤外発受光源としてのGe系薄膜のポテンシャルを示すとともに、申請者の開発した高速CWレーザーアニール法の有用性も示す結果である。これらの結果は論文(Applied Physics Letters, AIP社)へ投稿するとともに、各種学会(応用物理学会・Inter national Conference on Solid State Device and Materials)にて発表し、MRS-J主催の国際学会(Advanced Materials Research Meeting/ IUMRS-MRM2023)においてSilver Awardを受賞するなど、高い評価を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Ge系薄膜において高い伸長歪と高い活性化率を有するn型ドーピングの実現ができた。キャリア濃度と活性化率を報告されているGe系薄膜材料の中でベンチマークしたところ最高水準であり、光学材料のみならず電子デバイスや熱電材料など幅広い応用が期待できる成果である。<br> また、得られた薄膜の光学特性をフォトルミネッセンス法で測定したところ、従来Ge薄膜の10倍を超える良好な発光特性を示しており、目標とするGe系光学素子への応用に道筋を付ける成果であると考える。<br> これらのことから、研究はおおむね順調に推移していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は添加元素の最適化によるさらなる不純物活性化率の向上、界面絶縁膜の変更による結晶粒系の増大、水素元素導入による点欠陥の不活性化などを通じてさらなる発光効率の増大を目指す。 また、目標とする周期的ナノ構造のパターニング技術開発にも着手する。まずはRIE等のドライエッチングの条件を変調することで、エッチング条件による微小ダメージの導入や元素析出、歪み緩和などの発生を抑えられる条件を探索し、高品質な周期的ナノ構造の実現を目指す。
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