研究課題/領域番号 |
23K13382
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分22010:土木材料、施工および建設マネジメント関連
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
佐藤 賢之介 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (20821606)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | アルカリシリカ反応(ASR) / ASR生成物 / DEF / 相互作用 / 膨張予測 / 合成水和物 |
研究開始時の研究の概要 |
アルカリシリカ反応(ASR)は、コンクリートに膨張やひび割れをもたらす劣化現象として広く知られ、重要視されている。ASR膨張の発生は、コンクリート中の骨材とアルカリの反応による“ASR生成物”の形成に起因する。しかし、ASR生成物の形成要因や詳細な物性は明らかにされていない。膨張発生メカニズムの根幹が未解明であることから、コンクリートのASR膨張・劣化予測モデルは発展途上の段階にある。そこで本研究では、「合成ASR生成物を用いた形成条件および物性の解明」と「ASR生成物の性質に基いたコンクリートのASR膨張予測手法の構築」を行う。
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研究実績の概要 |
2023年度は、ASR とDEF の両者が発生する際の相互作用について、合成水和物を用いて影響因子を直接的に明らかにすることを目的として検討を行った。具体的には、ASRにおける生成物(ASR 生成物)やエトリンガイト,モノサルフェート等のDEFに関連する水和物を純薬合成した。合成した水和物を用いて、①モノサルフェートとASR 生成物を混合した上で硫酸ナトリウムを添加し、XRDおよびFT-IR分析を行うことで、ASR生成物がエトリンガイト遅延生成に及ぼす影響について検討した。また、②エトリンガイトとASR 生成物の構成材料を混合して、エトリンガイトがASR生成物の形成に及ぼす影響について検討を実施した。 パターン①の検討から、ASR生成物が先行して生成している状態においては、特にCaを含まず、アルカリとしてNaを含有するASR生成物が共存する環境下でエトリンガイトが生成され、CaおよびKを含有するASR生成物が共存する環境下においてはエトリンガイト生成が抑制される結果が得られた。またパターン②の検討から、エトリンガイトが先行して生成している状態では、Caを含まず、アルカリとしてNaのみ含有する環境下においてはエトリンガイトの安定性が維持され、CaおよびKを含有する環境下においてはエトリンガイトの安定性が損なわれる傾向が示された。 以上の結果を既往の知見と併せて考察すると、ASRが先行した場合においては、ASR発生初期(ASR生成物中にCaを含まない期間)で、特にASR生成物中のNa含有量が多い場合にエトリンガイトが生成されやすく、DEF発生のトリガーとなる可能性があると考えられた。しかしながら、その後ASR生成物がペーストからCaやKを吸収した場合、エトリンガイトの安定性が低下して消失してしまう可能性が推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
化学組成の異なる合成ASR生成物がエトリンガイト生成に及ぼす影響を示し、ASRがDEFに及ぼす相互作用の解明に寄与する知見を得ることができたため。また、エトリンガイト存在下におけるASR生成物の形成挙動を示すことで、ASRが先行した場合とDEFが先行した場合の両者の複合劣化の進行過程に関する考察を提示することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度においては、化学組成比を変化させて出発材料を混合してASR生成物を純薬合成する。併せて、合成時の温度や乾燥条件等をパラメータとして設定する。ろ過分離した固相試料の分析を行い、ASR生成物の形成状況,組成,形態および構造情報をXRD,XRF,FT-IR分析等により把握し、ASR生成物の形成条件・メカニズムを考察する。 また、作製した合成ASR生成物について、その物性の詳細な評価を実施する。特に、コンクリートのASR膨張現象に密接に関連していると考えられる、ASR生成物の水分状態や水分の吸脱着性状、密度変化を把握するためTG-DTA,水蒸気吸脱着等温線,ガスピクノメーター測定等を行う。
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