研究課題/領域番号 |
23K13384
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分22010:土木材料、施工および建設マネジメント関連
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
金氏 裕也 鳥取大学, 工学研究科, 助教 (20778013)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 水分移動特性 / 乾湿繰返し実験 / 水分移動予測式 / 移流現象 / 水粒子拡散現象 / 移流・拡散現象 / 鋼材腐食実験 |
研究開始時の研究の概要 |
乾湿繰返しを受ける鉄筋コンクリート(以下,RC)構造物の鋼材腐食に起因する劣化を予測するためには,RC部材の水分移動特性を把握する必要がある.本研究では,まず,移流・拡散を考慮した流体の運動方程式を応用して,乾湿繰返しを受けるコンクリート中の水分移動を予測する数学解(水分移動予測式)を導出する.次に,乾湿繰返しを受けるRC部材の水分浸潤・拡散過程および乾燥過程における内部含水率の経時変化を実験的に測定し,実験結果より,水分移動予測式の妥当性を検証する.さらに,水分移動予測式を鋼材腐食に起因するRC構造物の劣化予測へ適用することを考え,RC構造物の新たな耐久性評価手法の開発に挑む.
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研究実績の概要 |
RC構造物の鋼材腐食に起因する劣化を予測するためには,乾湿繰返しを受けるRC部材の水分移動特性を把握する必要がある.水分移動特性を簡易的に把握するためには,乾湿繰返しを受けるコンクリート中の水分移動現象の定式化が望まれるが,未だ定式化には至っていない.そこで本研究では,乾湿繰返しを受けるコンクリートの水分移動特性を実験的に把握し,コンクリート中の水分移動を予測する数学解(水分移動予測式)を導出することを目的とする.さらに,鋼材腐食に起因するRC構造物の劣化予測に対して水分移動予測式を適用することにより,RC構造物の新たな耐久性評価手法を提案する. 2023年度は,モルタルの吸水実験および乾湿繰返し実験により測定した飽和度分布および内部水分量の経時変化より,吸水過程および乾湿繰返し過程における水分移動特性に関して検討した.その結果,累積吸水期間が等しい条件下において,乾湿繰返し過程の規則性に変化を与えた場合のモルタルの飽和度分布は,吸水過程における飽和度分布と概ね一致することを確認した.また,乾湿繰返しの規則性が等しい条件下において,乾湿繰返し回数によらずモルタルの飽和度分布が概ね一致することを確認した.以上より,短期低温乾燥を含む乾湿繰返し過程における水分移動特性は,吸水過程における水分移動特性により表すことができることを示した. さらに,コンクリートのような不連続空隙を有する物体中の水分移動量を予測する解析モデルを提案した.乾燥状態の物体中の短期水分移動は,連続空隙中の毛管浸透に起因する移流現象と不連続空隙中の水分の封入気体溶解に起因する水粒子拡散現象が複合する現象であると定義した.解析結果から,相対含水率分布の時間変化は,毛管浸透の影響により水分移動時間の平方根に依存し,水分浸潤範囲における相対含水率は,不連続空隙中の封入気体の影響により指数関数的に低下することを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は,当初の計画通り,モルタルの吸水実験および乾湿繰返し実験より,モルタル中の水分浸潤,水蒸気拡散・逸散現象の相互作用を明らかにするために必要となる定量的なデータ(飽和度および内部水分量)を得ることができた.また,コンクリートのような不連続空隙を有する乾燥状態の物体中の水分移動量を予測する数学解を導出した.この数学解は,吸水過程における水分移動に対してのみ適用可能であるが,乾湿繰返し過程における水分移動を表す数学解の導出に必要な要素であるため,次年度の検討に重要となる成果を得ることができた.以上の成果は,コンクリート工学分野の学会で報告するとともに,学術誌に論文投稿中である.以上より,本研究は概ね順調に進展しているものと考える.
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は,絶乾状態および含水状態のモルタルの吸水実験および乾湿繰返し実験を行い,モルタル中の水分浸潤,水蒸気拡散・逸散現象の相互作用に関して詳細に検討する.また,乾湿繰返し過程における水分移動を表す数学解(水分移動予測式)の導出については,移流・拡散現象を考慮した物体の吸水過程における水分移動予測式を導出する.さらに,水蒸気逸散現象を考慮した物体の乾燥過程における水分移動予測式を導出する.吸水過程および乾燥過程における水分移動予測式を組み合わせることにより,乾湿繰返し過程における水分移動予測式の導出を試みる.各種過程における水分移動予測式を適用した解析により得られた水分移動量と,各種実験により得られた水分移動量を比較し,水分移動予測式の妥当性を検証する予定である.
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