研究課題/領域番号 |
23K13391
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分22020:構造工学および地震工学関連
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
瓦井 智貴 室蘭工業大学, 大学院工学研究科 もの創造系領域, 助教 (60943868)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | RC梁 / FRPシート / 衝撃荷重 / 耐衝撃挙動 / 衝撃応答解析 / 落石 |
研究開始時の研究の概要 |
近年,温暖化に伴う異常気象により集中豪雨が多発している。また,それにより山岳部斜面の安定性が失われ,落石や土石流等の自然災害が頻発するとともに,衝撃的な外力を受ける社会基盤施設の安全性が問題視されている。本研究では,高強度で軽量かつ人力施行が可能なFRP接着補強に着目し,本手法を用いて補強したRC構造部材の耐衝撃挙動の解明および終局限界状態を考慮した耐衝撃設計法の検討を行うことで,人命や交通網を守る落石防護インフラ施設の安全性向上を目指す。ここでは,RC部材の引張面にFRP材を接着し,その耐衝撃性能および合理的な耐衝撃設計式を衝撃荷重載荷実験ならびに3次元弾塑性衝撃応答解析から詳細に検討する。
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研究実績の概要 |
終局状態を考慮した落石荷重を受けるFRP補強RC梁に関する耐衝撃設計手法の開発を最終目的に,本年度は以下の検討を実施した。 既往の研究では未検討であったRC梁の断面寸法をパラメータとして,無補強あるいはシート補強を施した場合における合計10体のRC梁を対象に,静荷重および衝撃荷重載荷実験を実施した。RC梁の断面寸法は,既往の研究で対象としていたRC梁(幅×高さ×長さ:200×250×3400mm)の静的耐力を基準として,無補強RC梁の静的耐力が2倍程度となるような大きい断面を用いることとした。すなわち,既往研究の断面寸法よりも高さを100mm大きくするとともに,主鉄筋をD19からD25と大きくし,無補強RC梁の静的耐力が130kN程度を示す断面を設定した。また,下面シート接着曲げ補強を施す場合には,静的な破壊性状が異なるように,シート補強量を415および1660g/m2の2種類を用いた。 静荷重載荷実験では,梁幅方向に400mm,梁軸方向に100mmの載荷板をスパン中央部に設置し,油圧ジャッキを用いて荷重を作用させた。また,衝撃荷重載荷実験では質量500kgの鋼製重錘をスパン中央部に自由落下させることによって荷重を作用させた。実験では,ロードセルによって荷重(衝撃力),支点反力を,高速度カメラによって重錘衝突速度や載荷点変位を,ひずみゲージによってFRPシートの梁軸方向ひずみを測定した。また,実験終了後には梁側面のひび割れ分布性状を観察・記録した。 実験の結果,1)梁高が大きく静的耐力が既往の研究の2倍程度のFRP補強RC梁に関しても,既往の研究と同様に静的な破壊形式が曲げ圧壊型の場合には,衝撃荷重載荷時においてシート破断によって終局に至ること,2)静的な破壊形式が剥離破壊型の場合には,衝撃荷重載荷時においてシート剥離によって終局に至ること,などを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は当初の予定通り,既往の研究とは断面寸法の異なるRC梁の耐衝撃挙動を確認した。また,下面シート接着曲げ補強を施した場合に関しても,そのシートの破壊性状や終局状況について検討を実施しており,研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度実施したFRP補強RC梁に関する衝撃荷重載荷実験結果を対象に,有限要素法による三次元弾塑性衝撃応答解析を実施する。また,実験結果との比較によって,本提案手法の妥当性を検証する。その後,梁の断面やシート補強量などを変化させたパラメトリック解析を実施することで耐衝撃設計法の確立に向けた研究を推進していく予定である。
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