研究課題/領域番号 |
23K13392
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分22020:構造工学および地震工学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
鈴木 敦詞 東北大学, 工学研究科, 助教 (20898118)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 合成構造 / 鉄骨構造 / 応力伝達機構 / 制振構造 / レジリエンス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,「要素レベル」として機械的ずれ止めの応力伝達機構の解明,「部材レベル」として合成梁の正負曲げ区間の変動とずれ止めせん断力分布の定量的評価,「骨組レベル」として実大制振架構の最大応答変位・加速度のマッピングによるリスク評価に基づき,終局限界~事業継続までを達成する設計法を確立するものである。本研究の成果により,各クライテリアに対応できるよう制振建物の設計が高度化され,建物使用者の安全性の確保と建物所有者の資産保護が実現できる。
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研究実績の概要 |
本年度は,繰返し応力を受ける機械的ずれ止めの力学性能評価を目的として,スラブに圧縮・引張の繰返し応力を作用させる合成梁要素試験体を構築し繰返し載荷実験を行った。機械的ずれ止めとして頭付きスタッドを用いた場合,スラブ埋込み部からひび割れを生じ,引張応力下における最大せん断耐力が圧縮応力下に比べて27~49%に低下することを示した。孔あき鋼板ジベルを用いた場合,応力伝達が孔部で局所化するため,圧縮・引張応力下で最大せん断耐力が概ね同一となることが確認された。また,近年欧州で開発が進んでいるパズル型・クロソイド型ずれ止めでは,せん断剛性・耐力がスタッドよりも大きく,引張応力下での性能低下量も小さいことが明らかになった。一方で,スラブひび割れ後には鉄筋に応力が伝達され,終局時までせん断耐力が残存することから,合成梁の性能に影響する可能性があることが示唆された。 上記の載荷実験では,ずれ止め諸元やスラブ幅が網羅されていないことを受け,材料履歴構成則等をキャリブレーションした有限要素解析モデルを構築した。さらに,実験では計測が難しいスラブの応力分布やずれ止め界面におけるひび割れ進展状況について検討を深めた。解析結果と実験結果の対応が確認されたことから,各影響因子を変数としたパラメトリックスタディを展開し,力学性能のデータベースを構築した。最終的に,得られた結果を基に,繰返し応力下における各ずれ止めの最大せん断耐力とせん断剛性の評価式の構築に至った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
検討対象項目について,評価式の構築が完遂できており,おおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の成果は,次年度予定している合成梁部材に対する検討の基礎的知見となる。合成梁の性能は鉄骨梁-スラブ間の応力伝達で規定されるが,材料非線形性と応力伝達機構の変動の影響が大きく,精緻に解明されてこなかった。さらに,合成梁の反曲点も応力伝達量によって逐次変化することから,次年度は正曲げ・負曲げ区間を再現できる部分架構試験体に対する載荷実験・有限要素解析を行い,ずれ止めの応力伝達量を陽に反映した合成梁の保有性能評価法を確立する予定である。
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