研究課題/領域番号 |
23K13402
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分22030:地盤工学関連
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
内藤 直人 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10816200)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 斜面崩壊 / 崩壊土砂 / 衝撃力 / ひずみ速度依存性 / 個別要素法 / 応力伝播 |
研究開始時の研究の概要 |
急傾斜地における斜面崩壊では地盤が完全な飽和状態に至らずに崩壊する場合が多い.待受け対策工への崩土の衝突挙動は,土が離散状態から高密度状態まで広範な間隙比を遷移する複雑な衝撃現象であるため,力学的根拠を有する衝撃力評価手法は確立されていない.本研究課題では,離散~高密度状態の広範な間隙比を遷移する崩土衝突現象を粒状体的視点からマルチスケール分析し,そこに波動論的視点を取り入れることで崩土衝突の新しいダイナミクスを構築する.本研究成果は,崩土による壁面衝撃力評価手法の革新と土の衝撃現象に関する破壊制御設計のパラダイムシフトに貢献する.
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研究実績の概要 |
1年目は,当初の計画のとおり,壁面衝撃力を計測する模型実験,土要素のひずみ速度依存性等に関する衝突条件と単純化した数値実験,壁面衝撃力評価に対するDEM解析モデルの妥当性確認を行った. ①壁面衝撃力を計測する崩土流下模型実験を実施した.斜面法尻から対策工までのクリアランスに対して流動層厚が小さい条件においては,斜面勾配45度未満の領域で斜面勾配の増加に伴って衝撃力が増加するものの,45度以上では法尻での速度減衰により衝撃力が小さくなる傾向を確認した.一方で,クリアランスに対して流動層厚が大きい条件においては,後続の崩土の体積が大きいことで法尻での速度減衰の効果が小さくなるため,45度以上の領域においても斜面勾配の増加に伴って衝撃力が増加する可能性があることを明らかにした.クリアランスに対する崩壊土砂量によって斜面流動-堆積機構が異なる可能性がある.今後,実験結果に対する分析を深め,数値実験による検討も実施する予定である. ②剛壁に対する土要素の衝突条件を単純化したDEM数値実験を実施した.具体的には,異なる衝突速度で土塊を剛壁に衝突させる数値実験を実施し,衝突速度と最大衝撃力には正の相関があることを確認した.さらに,異なる流動長さ(崩壊土塊の斜面方向長さに相当)の土塊を剛壁に衝突させる数値実験を実施し,流動長さが大きくなるほど最大壁面衝撃力は増加するものの,ある流動長さ以上は最大衝撃力に影響を及ぼさないことを明らかにした. ③壁面衝撃力評価に対するDEM解析モデルの妥当性を確認するために,実規模土砂流下実験で計測された壁面最大圧力分布とその解析結果を比較した.実規模実験で計測された壁面最大圧力は大きなばらつきを有するため定性的な比較に留まるが,DEM解析は剛壁上部よりも下部の方が大きくなる傾向を定性的に再現し,かつ最大圧力の頻度分布の傾向も概ね再現できることを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
衝突条件を単純化した土要素の剛壁衝突数値実験においては,検討開始直後は土要素の初期条件の設定に難航していた.具体的には,単に重力堆積させた土塊は斜面流動土砂に対して間隙比が小さすぎるため,重力堆積させた土塊を剛壁衝突させると斜面流動実験・解析で得られる衝撃力よりもはるかに大きな結果となり,単純化した土要素の数値実験とは言い難い状況であった.そこで,斜面流動解析において水平面に到達した流動土砂情報を活用する工夫や,土塊の先端形状を工夫することによって,斜面流動解析と同条件の間隙比,構造を有する土塊の剛壁衝突数値実験を実施することを可能にした.上記の工夫により,1年目は当初の計画のとおり研究を進めることができたため,おおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
研究計画については特に変更はなく,今後も計画通りに進める予定である.
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