研究課題/領域番号 |
23K13405
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分22030:地盤工学関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
中山 雅之 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 研究員 (90943564)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 表層地盤 / 透過弾性波 / 非弾性応答 / 含水量 / 強震動 / 地盤応答特性 / 粘弾性的変化 / 実験・計測 / モデル構築 |
研究開始時の研究の概要 |
強震動により地盤の応答特性が変化しやがて回復 (粘弾性的変化) する現象が報告されている.近年,従来に比べて短期間のうちに同じ場所でくりかえし強震動が観測されるようになり,健全な地盤を仮定する既存の強震動予測では地震動を適切に評価できない可能性がある.地盤応答特性の粘弾性的変化は表層地盤の粘弾性的性質により定性的に説明されるものの経験則をこえるモデル化には至っていない.本研究では,強震動が連続作用する場合に焦点を当て,表層地盤を模擬した顕著な粘弾性的性質を持つ地盤を用いて,入力強震動・地盤物性に関するパラメタを変えながら地盤応答特性の粘弾性的変化の特徴を調べ定量モデルを作成する.
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研究実績の概要 |
「繰り返し入力される強震動により,表層地盤の応答特性がどのように粘弾性的変化するかについて,室内実験を通してモデル化する」ことを目指して研究を開始した. 強震動を入力した際に模擬表層地盤が粘弾性的なふるまいを示すような実験・計測システムの開発に取り組んだ.模擬地盤には,工学基盤あるいは地震基盤としてセメントモルタルを,表層地盤として顕著な粘弾性を示すシリコンサンドを使用した.地盤作製および弾性波計測を繰り返しおこなうことで,再現性のある透過弾性波が得られるような地盤作製方法を確立した.さらに,強震動を地盤に入力する機構を開発するとともに,自身が開発した既存の弾性波計測システムを本実験に適用することで,強震動入力にともなう地盤応答特性のモニタリングを試みた. また,モデル化をおこなうにあたり,表層地盤の粘弾性的性質に関係するパラメタのひとつであると考えられる地盤の含水量が,弾性波の伝播特性にどの程度影響を及ぼすかを事前に把握しておくことは重要であると考え,年次計画を一部変更し,地盤の含水量変化に対する弾性波応答を調べることにした.フィールドにおいて,降雨を含む期間に計測された,表層地盤に埋設した振動源から放射される微弱な弾性波の連続波形記録を解析した.弾性波速度が降雨前後で顕著に変化する様子が観測され,地盤応答特性の粘弾性的変化をモデル化する上で地盤含水量の影響を無視できないことが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
表層地盤の粘弾性的変化を再現するための実験・計測システムの基盤部分の開発を完了した.各種パラメタを変えながら模擬表層地盤における粘弾性的変化の特徴を調べる予定であったが,年次計画を一部変更し,地盤含水量変化に対する弾性波応答の関係を調べることにしたため,当初の計画からはやや遅れていると評価した.
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今後の研究の推進方策 |
表層地盤の粘弾性的変化に関係しうる入力震動特性および地盤物性に関するパラメタ (入力強震動の振幅・特徴的な周波数地盤の間隙率など) を変えながら,透過弾性波のピーク周波数と,弾性波速度と非弾性減衰を合わせ持つパラメタである複素インピーダンスの時間変化に着目しながら,地盤応答特性変化の特徴を理解する.まずは,1回の強震動を入力した場合の地盤応答特性変化の特徴について調べ,たのち,複数回の強震動を入力した場合の特徴を調べる.モデル化には,媒質の非弾性応答などに関する既存モデルを改良,組み合わせることを試みる.
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