研究課題/領域番号 |
23K13417
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分22040:水工学関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
佐々木 織江 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 助教 (20968474)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 雪線高度 / 積雪範囲 / 気候変動 / 衛星観測 / 積雪 / 雪氷水文 |
研究開始時の研究の概要 |
山岳地域における積雪域の把握は今後ますます重要となるが、ヒマラヤをはじめとする多くの山岳地域で、積雪域の正確な分布やその変化は明らかになっていない。一方で、衛星観測技術の向上によって地表面分類に関する全球規模のデータセットが多数生み出されている。積雪域の広域プロダクトも存在はするが、雨期の高山地帯は雲が多く、雲被覆によるばらつきが問題である。 それゆえ、本研究では、雲被覆による影響を受けにくく、積雪面積をよく反映する指標である「雪線高度」の全球高解像度プロダクトを作成する。さらに、本研究で得られた積雪域と、気候データや地形データを用いて、積雪域の変動メカニズムの解明を目指す。
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研究実績の概要 |
山岳域の積雪は下流地域にとって貴重な淡水源のひとつでありながら、その時空間的な分布が正確に把握されている地域は少ない。特に、ヒマラヤ山脈をはじめとするモンスーンアジアでは、夏に雲が多く衛星データからの積雪面積観測も困難である。そこで本研究では、雲被覆の影響を受けにくい雪線高度という指標を用いて、全球の積雪面積の推移と、変動要因を調べる。 令和5年度は、気候の異なる5つの流域にターゲットを絞り、衛星データから自動で雪線高度を抽出する手法の開発を行った。異なる衛星を用いた場合の衛星間誤差を調べ、使用衛星を選定したところ、最長で1984年から現在までの雪線高度の推移を調査することが可能となった。時間解像度は使用できる衛星データの数に依存しており、衛星観測データの少ない1999年以前は年々変動が主な結果である。使用できる衛星が増加する1999年以降は、季節変動パターンの時系列変化を調べることが可能である。さらに、同期間の気象データや標高分布を用いた解析により、積雪の変動を促す要因を調査するための枠組みも整理した。これらの枠組みを5流域に適応した結果は、国際誌に投稿準備中であり、また、国際学会(9th GEWEX-OSC 2024)での発表を予定している。 また、全球を対象とした大規模計算の準備として、計算環境の整備も行った。これらの成果により、次年度以降は全球での雪線抽出に集中して取り組む予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度は、雪線高度を自動で衛星データから抽出する手法の確立を行った。手法の確立とあわせて、使用する衛星の選定、異なる衛星データを用いた場合の衛星間誤差の推定、結果の不確実性の推定を行ったことにより、抽出結果を解析する際の注意点なども整理した。これらが完了したことにより、次年度以降は全球での大規模計算に集中することが可能となった。また、手法確立のために特定流域で雪線抽出を行った結果は、国際誌投稿準備中であり、本研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
初年度(令和5年度)に開発した「衛星観測データから自動で雪線高度を抽出する枠組み」を用いて、全球での雪線高度の抽出を行う。対象地域は、地球上の山岳域や極域とする。衛星観測データの少ない1999年以前は年々変動に焦点を置き、1999年以降は季節変動の解析も行う予定である。また、雪線高度の自動抽出については令和6年度内の国際誌への掲載を目指す。 令和7年度には、得られた雪線高度の変化について解析するとともに、気象データや地形データを使用して、その変動要因を探る予定である。
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