研究課題/領域番号 |
23K13426
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分22050:土木計画学および交通工学関連
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研究機関 | 長野工業高等専門学校 |
研究代表者 |
轟 直希 長野工業高等専門学校, 都市デザイン系, 准教授 (50733268)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 歩行空間評価 / 表情解析 / 生体情報 / LF/HF値 / アイトラッキング |
研究開始時の研究の概要 |
近年、ウォーカブルなまちづくりが全国的に推進されており、これまで以上に街路空間に対する質の向上が求められる。本研究では、街路歩行者の心拍や瞳孔などの生体情報から得られた「感情情報」、さらには映像等から得られた「表情情報」から、街路空間に対する歩行者の評価を明らかにし、それらを活用した歩行空間評価手法を検討する。そして、歩行空間評価がまちなかの回遊性を及ぼす影響を検証する。
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研究実績の概要 |
本研究では、①.生体観測デバイスによる「歩行者感情」の把握、②.空間映像による「街路特性」の把握、③.感情と街路特性の関係性分析、④.歩行空間評価手法の検討を行うことを目的としている。2023年度では①にて生体情報取得手法の確立、②にて映像解析の準備・試行、③にて感情に影響を及ぼす要因分析を行うことを目標としていた。 ①では、ウェアラブルウオッチならびに電子瞳孔計にて感情情報(主にストレス度に起因する満足度)を計測する方法の開発に成功した。具体的にはウェアラブルウオッチから得られる心拍データからLF/HF値を算出し、それらのバランスからストレス度を把握する方法と、電子瞳孔計により瞳孔の動きを計測してストレス度の把握をする方法を確立することができた。2024年度からは実街路空間における感情情報取得を目指していく。 ②では、映像解析により街路空間要素として緑視率を算出し、街路構成要素と分離して分析することができたため、2024年度以降はその他の街路空間構成要素についても構成割合の算出を目指す。 ③では、表情から感情情報を得る方法について検討を行った。顔表情データベースより得られる顔表情データモデルと顔表情の心理標定データ(恐怖、怒り、嫌悪、悲しみ、驚き、喜び)から、最もその結果に近いレスポンスの得られる表情解析ツールを検討した。また、心理標定データの結果から感情がポジティブかネガティブであるのかを評価する感情評価スコアを算出し、その妥当性を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述の①~④の分類ごとの進捗状況を報告する。 ①では、ウェアラブルウオッチならびに電子瞳孔計にて感情情報の取得を目指していたが、予定する2024年度前期よりも早く、感情情報(主にストレス度に起因する満足度)を計測する方法の開発をすることができた。 ②では、映像解析の準備ならびに試行を目的としていたが、2023年度時点では緑視率(街路空間で街路樹や山などの緑が占める割合)や歩行者密度を算出することができた。これらの要素から歩行者のサービス水準を導く必要があろう。 ③では、主に表情から感情情報を取得する方法論について検証を行った。顔表情データベースより得られる顔表情データモデルと顔表情の心理標定データの関係性から、感情がポジティブかネガティブであるのかを評価する感情評価スコアを算出した。さらに、様々な表情から感情取得をするうえで妥当な表情解析ツールの検討を重ね、心理標定データと近しい値をアウトプットする表情解析ツールを検討した。また、生体情報より得られた評価については、街路空間の構成により評価に差異があることを確認することができた。 以上のことから2023年度に計画をしていた①~③の取り組みについては計画的に進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
上述の①~④の分類ごとの今後の研究推進方策を記述する。 ①では、ウェアラブルウオッチならびに電子瞳孔計にて感情情報取得の目処がついたため、実街路空間の評価を得る準備を本格化させる。具体的には、実街路空間の映像に基づいて評価を行い、街路の特徴によって評価に差異が生まれるのかを検証する。 ②では、2023年度時点で算出が可能となった緑視率や歩行者密度だけでなく、道路構成要素の算出を目指す。これらの要素から歩行者のサービス水準を導いていく。 ③では、歩行者表情から感情に影響を及ぼす要因分析として、感情や表情から得られた満足度と実街路空間との関係積分析を行うことを目的とする。具体的には長野市中心市街地における歩行者優先化道路化事業が完了したエリアとそうでないエリアにおいて、表情解析結果ならびに生体情報から得られた歩行者の評価について、差異がみられるかどうかを検証する。 以上の取り組みを2024年度も計画的に推進していく予定である。
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