研究課題/領域番号 |
23K13429
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分22060:土木環境システム関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
覃 宇 東北大学, 工学研究科, 助教 (80853241)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 嫌気性MBR / 膜ファウリング / 廃棄物 / メタン発酵 / 元素回収 |
研究開始時の研究の概要 |
有機性廃棄物は主に人間活動由来であり、嫌気性消化により資源を循環できる重要な対象とされる。嫌気性膜分離法(AnMBR)は、有機性廃棄物よりメタンのエネルギーを回収する同時に、重要元素(窒素・リンなど)を回収することで、バイオプラントに対する大幅なコストダウンを達成することが望まれる。本研究は、AnMBR法を用いた廃棄物の嫌気性消化において、プロセスの高付加価値化・最適化を狙って、脂肪酸と重要元素の回収を強化する同時に、システム運転状況の解析手法を開発・統合し、膜ファウリング抑制手段を組み合わせて展開する。本研究はエネルギー消費低減、環境負荷低減、重要元素の循環再生などの課題には寄与可能である。
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研究実績の概要 |
有機性廃棄物は主に人間活動由来であり、嫌気性消化により資源を循環できる重要な対象とされる。嫌気性膜分離法(AnMBR)は、有機性廃棄物よりメタンのエネルギーを回収する同時に、重要元素(窒素・リンなど)を回収することで、バイオプラントに対する大幅なコストダウンを達成することが望まれる。本研究の目的は、AnMBR法を用いた廃棄物の嫌気性消化において、プロセスの高付加価値化・最適化を狙って、脂肪酸と重要元素(窒素・リン・ミネラル)の回収を強化する同時に、システム運転状況の解析手法を開発・統合し、膜ファウリング抑制手段を組み合わせて展開することである。本研究はエネルギー消費低減、環境負荷低減、重要元素の循環再生などの課題には寄与可能である。研究を実行することで、AnMBR法の制御方法の開発に統合した知見により廃棄物処理に新たな方法を示して多面的価値を創出でき、エネルギー消費低減、環境負荷低減、重要元素の循環再生、固形廃棄物の資源循環の核として循環型社会の形成に寄与できる。
本研究は次のような具体的な研究課題に取り込むこととした:AnMBR法における嫌気性消化機能の最適化、AnMBRにおける微生物群集変動解析と元素分布の解明、膜ファウリング分析手段の統合と解明手法の開発、AnMBR運転最適化に向けた自動制御方法の開発、膜ファウリングの抑制と重要元素回収の促進、物質・エネルギー収支による経済性評価。
令和5年度には、1年目としてAnMBR法の実験装置を構築し、有機性廃棄物を原料とし、AnMBRシステムの容積負荷を上昇することで、脂肪酸などの中間産物と重要元素を蓄積させ、嫌気性分解、膜ろ過と中間産物の回収についてそれぞれの最大能力を考察した。なお、AnMBRシステムにおける微生物群集変動解析と重要元素の分布を解明した。今年度は、これからの研究課題に基礎的な運転データを蓄積できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
AnMBR法は嫌気性発酵と膜ろ過分離である二つの主な要素技術を組み合わせたシステムである。令和5年度は主に1年目としてAnMBRシステム全体の最適化に向けた嫌気性発酵機能の運転特性を考察した。まず、AnMBRシステムを用いた下水汚泥の処理における容積負荷を上昇することで、中鎖・長鎖脂肪酸と重要元素を蓄積させ、嫌気性分解状況、膜ろ過効果と中間産物の回収についてそれぞれの最大能力を考察した。なお、AnMBRシステムにおける重要元素(窒素・リン・ミネラル)の分布を解明し、微生物群集構造の遷移も解析した。R5年度の研究結果は次年度に膜ろ過分離機能の解析・最適化を中心とした研究課題に重要な基礎知見を蓄積できた。年度内の論文・学会発表歴はなかったが、数編の論文原稿は投稿中である。以上よりまとめると、当初の研究計画に照らして概ね順調に完成したと言える。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度には膜ろ過分離機能の解析・最適化を中心とし、具体的には膜ファウリング分析手段の統合と解明手法の開発、およびAnMBR運転方法の最適化策について実験研究を行い、基本的には当初想定された計画順で進める予定である。 まず、AnMBRシステムにおける膜ファウリングに対し多様な分析手段を用いて、「外見的指標~統計的指標~微視的指標」のように逆推できる解明手法を統合・開発する。詳しくは昨年度各条件に運転されたシステムにおける汚泥性状(濃度、組成、粒径分布…)、膜ろ過液(分子量分画、3D蛍光分析、FT-ICR MS…)、膜表面ケーキ(SEMの画像解析、膜ろ過抵抗…)などの分析結果と運転状況のデータ(各成分の分解率、TMP波形解析…)と関連づけ、多次元的な解析手法を統合する。また、閉ループ制御システムを導入し、TMP波形の変動により膜ろ過サイクルを調整できるように、メタン発酵機能の設計負荷に応じた膜ろ過流束の最適化運転策を検討する。なお、昨年度と今年度の研究結果を学会と論文の発表を通して発信することを積極的に推進する予定である。
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