研究課題/領域番号 |
23K13456
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分23020:建築環境および建築設備関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
寺島 康平 東京理科大学, 工学部建築学科, 助教 (80966565)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2024年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 太陽電池 / 太陽熱集熱器 / PV/Tソーラーパネル / エジェクタ冷凍サイクル / SDGs / 太陽光 / 集熱 / 発電 |
研究開始時の研究の概要 |
太陽電池は変換効率が現状15%程度であり、残りの約85%が外気温+30℃程度の廃熱になるため、普及が拡大することで環境への熱負荷が増大する。この課題を解決するため、太陽エネルギーを40~60℃の温水と電力に同時に変換するPV/Tソーラーパネルを開発した。このパネルで回収した温水は住宅の給湯・暖房・冷房に利用する想定だが、従来冷房に使用されている吸収式冷凍機では90℃以上の温水が要求されるため、冷房利用は困難であった。本研究では、PV/Tソーラーパネルと、60℃程度の温水から15℃の冷水を省電力に生成するエジェクタ冷凍サイクルを組み合わせた新たな自然環境調和型冷房システムを開発する。
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研究実績の概要 |
本研究では、太陽電池と太陽熱集熱器を組み合わせたPV/Tソーラーパネルと、60℃程度の温水から15℃程度の冷水を生成することが可能なエジェクタ冷凍サイクルを組み合わせた新たな自然環境調和型冷房システムの開発を目的として、システムの冷房消費電力削減効果をシミュレーションを用いて検討した。システムの検討には、従来までに開発してきたモンテカルロ法を用いた需要推定シミュレーションツールを用い、実験値から得たエジェクタ冷凍サイクルの計算モデルをこのツールに導入して計算を行った。 エジェクタ冷凍サイクルに必要な冷却水の供給方法によりシステムの効率が変化することから、本研究では東京の戸建住宅において、湿球温度24℃以下の時間帯にエジェクタ冷凍サイクルを運転する従来のケースと、冷却塔の代わりに井水槽から冷却水を供給してエジェクタ冷凍サイクルを運転するケース、およびエジェクタ冷凍サイクルに井水槽から冷却水を供給し、かつエジェクタ冷凍サイクルは除湿に用いて、井水を放射冷却に使用するケースの3つをそれぞれ比較した。 従来のケースでは、東京の高温多湿な気候で十分温度の低い冷却水を冷却塔から供給することができず、エジェクタ冷凍サイクルの稼働時間が限られることで消費電力の削減効果が限定的であったが、エジェクタ冷凍サイクルを除湿に用い、井水を放射冷却に使用するケースでは、井水の温度が低いためエジェクタ冷凍サイクルを高効率に稼働でき、従来のケースと比較して消費電力を約80%削減できる可能性があることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
PV/Tソーラーパネルのモデル化および最適設計の検討を行う予定であったが、屋内実験用PV/Tソーラーパネルデバイスの製作で業者との折り合いがつかずに納期が遅くなったこと、および実験に必要な真空ポンプが故障したことにより、実験の開始時期が遅れた。PV/Tソーラーパネルとエジェクタ冷凍サイクルを組み合わせたシステムの検討は概ね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
製作したPV/Tソーラーパネルデバイスを用いて、各種条件を変更しながら屋内実験および屋外実験を行い、集熱・発電効率を予測するモデルの開発を行う。またエジェクタ冷凍サイクルとPV/Tソーラーパネルを組み合わせた試験装置の開発に向けた設計を行う。このシステムを有効に利用する運用方法についても引き続きシミュレーションを用いて検討する。
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