研究課題/領域番号 |
23K13458
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分23020:建築環境および建築設備関連
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研究機関 | 国土技術政策総合研究所 |
研究代表者 |
趙 玄素 国土技術政策総合研究所, 建築研究部, 主任研究官 (90839143)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 触媒 / ガス成分分析 / FTIRを用いたガス成分分析 / ガス毒性 / FTIR |
研究開始時の研究の概要 |
近年の火災による総死者数は年々減少傾向にあるが、火災による死因は一酸化炭素中毒・窒息による件数の割合が高く、火災種類については出火総件数と比較して住宅火災が大きな割合を占めている。火災時に発生する煙や有害性ガスは火炎よりも拡散速度が高く、避難者に甚大な影響を与えることが知られているが、避難安全検証や排煙設備などによる対策は大規模な建築物のみが対象であり、住宅に用いることは難しい。本応募課題では前課題(研究課題/領域番号:19K15269)に続き、有害性ガスが拡散する前に化学的に変化させることによって、有害性ガスを除去する手法を開発することを目的とする。
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研究実績の概要 |
現在火災時に生成する有害性ガスの対策として使用される手法は、煙を含めた有害性ガスの拡散を遅らせる方法や、排気設備を使った吸引によって濃度を薄める方法があるが、コストや設置に面積を要するなどの理由から、住宅や工事中建築物においての適用が難しい。そこで、これらのケースにおける有害性ガスの影響を低減するための一つの方法として、発生した有害性ガスの拡散を化学反応によって抑制することが有効でかつ設置が容易であると考えられ、そのメカニズムを応用した有害性ガスを除去する手法が求められている。 これまでの研究で、有害性ガスが拡散する前に化学反応させることによって無害な物質にする手法の開発を目指し、過去の文献から有害性ガスを除去できる触媒を選定し、触媒の濃度および散布頻度を変えながら燃焼実験を行い、一酸化炭素およびシアン化水素の除去に対して、触媒の有用性について確かめた。今年度は過去の実験結果から、建築材料の燃焼性状や生成する有害性ガスの毒性に基づいて、必要除去量や反応速度について調べ,その成果を令和5年10月に開催された国際学会IAFSSでポスター発表を行った。さらに、本研究ではFTIRを用いて燃焼生成ガスを分析しているが、ガス種間の干渉が知られており、信頼性の高いガス成分分析技術を習得するための、本年度は1か月間フランスに滞在し、検量線を作成するなど、より正確に燃焼生成ガスの定量定性分析をできるようにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、今年度に触媒散布用装置を用いて材料規模の実験を実施する予定であったが、FTIRを用いた分析方法の信頼性に大きな問題があることがわかり、急遽その技術を習得する必要があったため、今年度は新たに実験を実施せず、過去のデータの分析および考察に留まった。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度の計画(初年度) 触媒散布用装置を用いて、ガス成分分析を行いながら材料レベルの燃焼実験を実施し、触媒の反応速度や反応量について調べる。さらに、ガス有害性試験装置を用いて触媒を散布しながら燃焼実験を行い、マウスの血中一酸化炭素ヘモグロビン濃度や血中シアン濃度を確かめることにより、生体がいる環境における触媒の有用さを確かめる。マウスの行動停止時間の記録やガス成分分析の結果から、触媒を散布することにより新たな有害物質が発生する可能性について検討し、安全性について確かめる。 令和7年度の計画(3年目) これまでの成果を踏まえて、実用につながる効率の高い除去手法を考案する。過去の火災事例から、実際の火災事例を用いたケーススタディを行い、触媒を散布した場合としなかった場合の避難者行動を比較し、触媒散布システムの避難行動への寄与度について評価をする。
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