研究課題/領域番号 |
23K13459
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分23030:建築計画および都市計画関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
菅野 圭祐 筑波大学, 芸術系, 助教 (80778093)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | アーバンデルタ / 城下町都市 / 水管理拠点 / 利根川流域 / 水環境マネジメント |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は「アーバンデルタ:大河川デルタの水環境と共生する都市地域デザインの基盤となる仕組み」を主題とし、「水管理拠点:大河川のデルタ地帯を構成する各地域コミュニティが共同で水環境を維持管理する拠点」を対象に行う。そして水管理拠点が都市地域の核として水利施設とコミュニティ拠点との組み合わせでデザインされ、領域を横断した水環境マネジメントの中枢をなしているという仮説を検証する。 利根川デルタの水環境と密接に関係する城下町都市群を対象とし、水管理拠点の再価値化を起点とした都市地域デザインによるエコロジカルなネットワークの再生という観点から、地球環境時代のアーバンデルタのあり方を検討する。
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研究実績の概要 |
1)利根川流域全域における城下町都市の基礎的調査を通して対象都市の再設定を行った。文献調査、古地図資料調査、GISによる地形分析を通して、特に中・下流域の標高30m以下の地域において、城下町都市と低湿地との関係が顕著に確認された。当該領域に建設された城下町都市として、忍、館林、下妻、古河、関宿、佐倉、土浦の計7都市を対象都市に選定した。 2)近世城下町絵図や明治期の測量地図などをもとに、明治前期における利根川中・下流域の水域および城下町都市の都市構造をGIS上に再現し、各城下町都市が、立地に応じて異なる周辺の水環境と生態学的に関係づけられ、それぞれ固有の都市形態および小圏域を構築した実態を明らかにした。 3)各城下町都市では、小圏域に築かれた治水・利水システムの核となる水管理拠点が都市域に組み込まれている。これらの水管理拠点として、城堀と一体化した氾濫原や農業用溜池、城郭の土塁と一体化した突堤などを抽出した。 4)対象都市の内、特に下妻に焦点を当て、水管理拠点の農業用溜池「砂沼」における現代の管理体制について、行政職員およびまちづくりに関わる市民組織へのヒアリング調査を基に分析した。下妻市の地域活性化、環境保全に関わる行政計画が砂沼を拠点に具体化され、行政と市民が協働するまちづくりのプラットフォームが立ち上がり、これが砂沼の維持管理を担いつつある実態を明らかにした。 5)オランダ・デルフト工科大学の研究者との国際会議発表プロシーディングの作成、対象都市の現地調査を通して、これまでの研究成果の共有化と次年度以降のガイドライン作成に向けた議論を実施した。現地調査は、佐倉周辺の小圏域である印旛沼集水域を対象に行い、丘陵上の城下町都市、谷津田、印旛沼、利根川が関係付けられたエコロジカルな地域構造を視覚化するGISデータベースの作成手法を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度に予定していたGIS三次元モデルの構築について、使用を想定していたソフトウェアの日本国内リリースが年度内に実現しなかったため、実施が困難であった。一方、2024年度に行う予定であった管理体制の調査について、下妻市との連携体制が整ったため先行して実施した。また、2025年度に実施予定の国外研究者との意見交換について、デルフト工科大学の研究者との連携体制が整ったため、先行して実施した。以上のことから、全体としてはおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
1)2023年度に実施した対象7都市の都市形態および小圏域構造の分析を、詳細な現地調査によって深化させる。 2)2023年度に着手できなかった水管理拠点のGIS三次元モデルの構築を、下妻を対象に進めることを検討している。また、これを用いて、下妻市と連携して都市空間ワークショップを実施し、自治体職員および地域住民の参画を通してガイドラインの作成を行う計画をしている。 3)オランダ・デルフト工科大学の研究者と連携し、印旛沼流域を対象としたGISデータベースを作成し、学際的コミュニケーションによるガイドラインの作成に向けて、基盤情報の視覚化を行う予定である。 以上を踏まえ、最終年度に水管理拠点の現代的評価につなげる予定である。
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