研究課題/領域番号 |
23K13460
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分23030:建築計画および都市計画関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
嚴 先ヨン 筑波大学, システム情報系, 准教授 (90823451)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 都市構造設計 / 拠点計画 / ビッグデータ / 気候変動 / 都市構造 / コンパクトシティ |
研究開始時の研究の概要 |
温暖化ガスの主要な排出元である都市において、気候変動の緩和(Mitigation)と,既に起こりつつある気候変動による影響に適応(Adaptation)ができる都市構造を実現することは不可欠である.しかし,そのために目指すべき具体像は明らかにされていない.本研究は,気候変動の緩和と適応が両立できる都市構造設計モデルを交通ビッグデータに基づいて開発することを目的とし、以下の課題を解決する。 ①低炭素交通行動への誘導のための個人の移動パターンを考慮した交通利便性要因の解明 ②「マイカー」に依存しないコンパクトな都市構造設計手法の開発 ③利便性と災害リスクから安全性を考慮した都市拠点計画支援手法の開発
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研究実績の概要 |
本研究は,気候変動の緩和と適応の両立のための都市構造の実現を目的とし,1年目には1)地理空間ビッグデータから住民の移動パターンの把握と2)人口変動を考慮した都市構造設計手法の開発を行った. 1)地理空間ビッグデータから住民の移動パターンの把握:第一に,地理空間ビッグデータを利用して,住民の移動パターンを明らかにした.交通ビッグデータを使用することで,住民の移動を可視化し,商業集積地や鉄道駅周辺の利用者の特徴を把握した.具体的には,東京都区部を対象に,街区レベルの建物用途構成と発生集中・滞在移動特性との関係を分析した.その結果,商業系の街区では午後以降の発生集中が多く,短時間滞在・長距離移動の傾向がある一方,住宅系は逆の傾向が見られた.第二に,駅周辺を対象に,大規模 GPSデータに基づいて歩行者の行動を分析し,歩行者数,歩行距離,滞在時間をそれぞれ指標化した歩行者行動指数(PMI)を開発し,歩行者が多い駅の周辺において,密度,多様性,デザイン,目的地アクセシビリティ,交通手段への距離,といった都市空間の要素とPMI との関係を調べた.その結果,歩行者数,距離,滞在時間は,土地利用の多様性や道路の連結性などの特徴によって異なることが分かった. 2)人口変動を考慮した都市構造設計手法:人口変動を考慮しながら住民の近接性と拠点維持・配置コストの両立のために住民の移動距離,配置する施設数,拠点数,新規施設数を考慮した拠点計画モデルを提案し,都市の人口規模による将来拠点計画の戦略を検討した.本研究の結果は,人口変動を考慮した多様な計画案の基礎を提供し,将来の空間計画の戦略の検討に貢献できる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に既述のとおり,1)地理空間ビッグデータから住民の移動パターンの把握,2)人口変動を考慮した都市構造設計手法の開発を行った.また、それぞれの結果について,国内外における研究発表及び論文投稿を行ったため,おおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
2年目には,ビックデータによるより詳細な移動パターンの把握とそれに基づいた「マイカー」に依存しないコンパクトな都市構造設計手法の開発を目標とする. 1)「マイカー」に依存しない利便性の高い拠点の条件の解明:1年目に開発した移動特性指標と歩行者行動指標を発展させ,施設の分布と周辺の土地利用の観点からの需要の高い拠点の特徴,2)利用者数の多寡によって流動的に変化する運行ダイヤを考慮した公共交通の利便性と,利用者の移動経路の観点から拠点へのアクセス交通手段の選択要因を解明することで,「マイカー」に依存しない利便性の高い拠点の条件を解明する.異なる物理的な条件を持つ複数の都市を対象とすることにより,都市構造の利便性への影響も把握する. 2)環境負荷と利便性を考慮した低炭素交通行動誘導型都市構造モデルの開発:1年目に開発した人口変動を考慮した都市構造設計手法をもとに,環境負荷を取り入れた低炭素交通行動誘導型都市構造モデルを開発する.その際に利便性の高い拠点条件を考慮して利便性を担保し,頻繁に変更されず将来の財政負担が過剰にならないロバストな都市構造が設計できるよう,将来人口を考慮する.
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