研究課題/領域番号 |
23K13467
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分23030:建築計画および都市計画関連
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
馬塲 弘樹 一橋大学, 大学院ソーシャル・データサイエンス研究科, 特任准教授 (60869121)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 不動産登記 / 住宅 / 地理情報システム / 統計 / 人口減少 / 空き家 / 縮小都市 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、不動産売買が消失してしまうような地域の推定とその地域特性を明らかにし、人口減少地域において持続可能な不動産流通施策を検討する。不動産登記情報を利用することで、所有者の抵当権設定の履歴などを追跡でき、不動産税制を始めとする住宅問題に対処できると考えられる。分析の枠組みとして、登記件数を被説明変数とした回帰分析を行い、不動産流動の多寡と地域特性との関連を分析する。さらに、不動産流動量が少ない地域に着目し、業者仲介が困難な場合の不動産流通の方法を調査・分析する。これにより、必ずしも不動産流動が活発ではない地域において、持続可能な不動産流通施策を検討できると考えている。
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研究実績の概要 |
本研究は、不動産登記情報を通して不動産売買が消失してしまうような地域の推定とその地域特性を明らかにし、人口減少地域において持続可能な不動産流通施策を検討することを目的としている。令和5年度はデータの整備、自治体との関係構築、収集したデータを用いた予備的分析までを行った。 データについて、不動産登記データだけでなく建築計画概要書、不動産取引事例も含めて整備を進めている。不動産登記は株式会社JONから提供を受け、電子データで利用可能である。一方、建築計画概要書は自治体により管理や提供可能性が様々である。交渉の結果、熊谷市はその提供が難しく、高松市は電子化した書類を提供いただいた。不動産取引事例は、国土交通省が保有しており、特定の目的に限られるものの、不動産取引事例の個票を提供いただいた。これらのデータは住所や緯度経度により今後統合を進めていく。 上記データの統合や前処理は完了している訳ではないが、それらのデータを利用してどのような分析に移行できそうか、自治体が実務的に応用できる可能性はありそうか、などを検討するために予備的分析を行った。対象としたのは高松市で、丸亀町商店街の再開発の波及効果を分析した。その結果、商店街近傍では不動産取引価格と商店街再開発との相関があるとはいえないものの、商店街近傍よりも外縁部(徒歩10分圏)では商店街再開発と正の相関がみられた。このような結果は本研究課題と直接関係がある訳ではないが、不動産登記、取引情報などをどのようにデータ統合し、ソフトウェアで分析できるのかについて有益な手掛かりとなった。 以上より、令和5年度の研究は計画通りに進捗しており、令和6年度ではデータの統合、前処理や基本的な分析を行い、有益な知見が得られた場合に学会での発表を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度は複数の自治体、民間企業との関係構築を行うとともに、データ提供にも協力いただいたため、来年度以降の分析の基礎的段階として有意義な準備期間であったといえる。熊谷市とは建築計画概要書の提供依頼をしたものの令和5年度中の提供には至らなかったが、研究会の企画を進めており、共同研究は順調に進んでいる。高松市とは建築計画概要書を提供いただくとともに、複数回の打合せで実務的なコメントをいただいた。令和6年度も引き続き協力いただけるとのことである。また、株式会社JONには不動産登記データを提供して貰い、密度高く打合せを行っている。このように、まだ分析結果はでていないものの、本研究課題は順調なスタートを切っているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度までに自治体、民間企業との関係構築を行ったため、次の段階ではデータの集約や前処理を丁寧に行い、円滑に分析に移行する。特に、データの前処理は分析全体のうち最も重要なプロセスであり、研究対象や内容を先鋭化しつつ無駄な情報を落としていく。そのため、令和6年度ではデータの前処理から基本的な分析までを行う予定である。また、基本的な分析を行った時点で一定水準の知見が得られた場合には、学会発表や研究報告を行うことを検討している。
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