研究課題/領域番号 |
23K13488
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分23040:建築史および意匠関連
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研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
勝原 基貴 金沢工業大学, 建築学部, 講師 (00965957)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 建築資料 / アーカイブズ / 近代建築史 / 資料整理 / 目録 / ファインディングエイド / デジタルアーカイブシステム / 建築アーカイブズ / 編成記述 |
研究開始時の研究の概要 |
建築アーカイブズの整理作業は、図書館での目録作成に比べてマニュアルが未整備であることもあり、属人的な知識や経験に基づいて行われている。結果的に、資料整理に携わる作業者の理解度の差異が目録の質や内容に大きな影響を与えている。 本研究の目的は、建築アーカイブズ構築時における目録入力支援ツールを試作・開発することで、データ作成のための原則に関する認識や資料整理に関する考え方のばらつきを軽減させ、記述形式の均質化や一定の水準を確保することで、情報資源共有の促進を図ることである。 学内の実践環境を活用することで、専門家と現場の認識ギャップを埋め、資料整理の基本作業にとって効果的な支援ツールの構築を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、建築資料アーカイブズに関する専門家の理論と現場の認識ギャップを埋め、整理作業の経験値に関わらず、資料整理時の手助けになる目録入力支援ツールを構築することを目標としている。その初年度として、プロセスルームの環境整備を進め、基本文献の収集を行い、また過去に目録データや整理作業に従事した経験者へのヒヤリングから、記述の揺らぎや判断が生じた箇所を検出し、国際標準アーカイブズ記述原則などの基本原則を踏まえて、建築資料の目録記述に求められるメタデータの基本項目や判断項目の検討を行った。 具体的には、KIT建築アーカイヴス研究所が所蔵する和田順顕資料、岸田日出刀資料、天野太郎+吉原正資料の整理作業、北國新聞に掲載された住宅関連広告の資料整理作業の実践から、とくに初学者が目録作成時に抱える課題を把握した。その研究成果の一部は、日本建築学会四国支部研究発表会(2024年3月)にて発表(「建築資料にみる建築家・和田順顕の建築活動に関する研究」)した。 人的・研究交流として、カナダ建築センター(CCA)を訪問し、CCAから本学への来訪(2023年4月)があった。2023年11月、九州大学大橋キャンパスにて、CCAならびに7大学のアーカイブズ分野の研究者が集まり、同大学主催の国際シンポジウム「大学建築アーカイブの挑戦」への登壇を通じて、周辺分野の研究者ならびに実務者との課題共有と意見交換を行った。また、階層表現による目録(ファインディングエイド)作成に関する意見交換を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要において触れたように、本年度は、初年度の成果として想定した知見を得ることができ、おおむね順調に進展している。これには人的・研究交流を通じて、意見交換の機会を豊富に得ることができたことも研究の進展に寄与した。なお、初年度の研究により、使用言語、資料整理の初期段階に必要とされる機能について、新たに検討する必要性が生じた。この点についても次年度以降の支援ツール構築の際に反映させていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、3年間の研究期間の中間年度にあたる。目録入力支援ツールの構築に向けて、ソフトウェアの基本設計と試作(ワイヤーフレームの検討)と制作を行う予定である。引き続き資料整理作業の実践から課題の把握を行うととともに、国内外のアーカイブズ分野の研究者との人的・研究交流を深め、課題共有と意見交換の機会を充実させること、学術論文発表などにより社会発信も進めていきたい。
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