研究課題/領域番号 |
23K13491
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分24010:航空宇宙工学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
玉置 義治 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (10881203)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 航空機 / 失速 / 乱流 / 高レイノルズ数 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、乱流遷移の近傍領域のみを乱流モデルを用いない直接数値計算で捉え、その他の領域でモデルを用いた計算(壁面モデルLES)を行うことで、現実的なコストでの失速現象の定量的予測を目指す。乱流遷移は壁面の近傍で発生する時間的・空間的に非常に小さいスケールの現象であり、その直接計算のためには、壁面モデルLESと比べて非常に細かい格子や時間刻み幅が必要である。よって、直接数値計算と壁面モデルLESの間で空間的・時間的に適切な補間法を構築し、2つの計算を組み合わせた航空機失速現象に対する高精度解析フレームワークを構築する。
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研究実績の概要 |
翼型周りの流れ場では、翼型前縁付近に存在する境界層の乱流遷移が、翼型全体の空力に大きく影響している。この乱流遷移は、形状の差異や外乱等の影響を受けやすくモデル化の難しい現象である。よって、従来の乱流モデルを用いる計算手法では、このような流れ場を正確に予測することが困難である。他方、乱流モデルを用いない直接数値計算(DNS)では乱流遷移の予測が可能であるが、乱流遷移は翼型全体に対して非常にスケールが小さく、直接数値計算のためには非常に細かい格子および時間刻みが必要である。 そこで、本研究では、乱流遷移周辺の小スケール現象と翼型全体の大スケール現象を適切に切り分けることで、現実的なコストでの高レイノルズ数翼型周り流れの高精度予測を目指す。具体的には、乱流遷移近傍のごく小領域を直接数値計算(DNS)、その他の大部分の領域を壁面モデルLESで計算するハイブリッドフレームワークを構築する。これにより、全域をDNSとするのに比べ、精度を保ったまま計算コストの大幅に削減することが可能となると期待される。 2023年度は、DNS、壁面モデルLES間でのデータの補間を含むソルバーの構築と、翼型周り流れ計算の検証を実施した。この検証計算では、データ補間が正しく実行され、計算の不安定性や数値振動が生じないことを確認できた。また、過去に実施した計算結果との比較を行い、翼型上の圧力分布や遷移点に存在する層流剥離泡を含む流れ場が精度良く予測できることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度の2023年度は、DNS/壁面モデルLESハイブリッドフレームワークの構築を実施した。検証として、平板乱流境界層の解析を実施し、DNS/壁面モデルLES間で値が正しく補間され、計算が安定に実施できることが確認できた。続いて、翼型周り解析を実施し、DNSを組み込まない壁面モデルLES単体の計算結果と比較を行った。ハイブリッド計算では、翼前縁付近に存在する層流剥離泡を捉え、遷移位置や形態について、参照とした過去の計算結果と良い一致が見られた。一方、壁面モデルLES単体の計算では層流剥離泡が捉えられず、指定した遷移位置によって結果が大きく変化した。これらにより、提案するハイブリッド計算のフレームワークの妥当性が確認できた。また、本計算の条件では、全域をDNSとするのに比べ、格子点数を半分以下に抑えることができた。ただし、当初予定していた別のレイノルズ数での解析については、計算コストが当初の見積もりよりも大きくなることが判明したため、当年度での実施を見送った。
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今後の研究の推進方策 |
研究2年度目に当たる2024年度は、2023年度までに構築したDNS/壁面モデルLESハイブリッドフレームワークを発展させ、時間方向のスケール分離によるさらなる計算コスト低減を目指す。現状では、DNSで計算される時間スケールの短い乱流遷移現象を捉えるために細かい時間ステップが必要な一方、壁面モデルLESで計算される時間スケールの長い翼型全体の現象を捉えるために多くの計算ステップを要している。そのため、計算コストの低減という面では不十分である。そこで、時間スケールの短い現象は少ない時間ステップ数で収束することを活用し、DNSをシミュレーションの全時間に渡って解かなくて良いようなカップリング手法を構築する。具体的には、DNSで得られる流れ場をスペクトル空間に変換し、それと同等な乱流を合成して壁面モデルLESの入力とすることで、DNSと壁面モデルLESとの間で異なる時間を採用できるようにする。これにより、DNSに律速されることなく、現実的なコストでの遷移の影響を加味した高レイノルズ数翼型周り流れのシミュレーションが可能となると期待される。 また、上記と併せて、研究最終年度に行うべき大規模3 次元解析に向けたフレームワークの効率化も実施予定である。
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