研究課題/領域番号 |
23K13501
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分24010:航空宇宙工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
伊藤 琢博 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (30872444)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 編隊飛行 / 軌道力学 / 誘導航法制御 / 軌道設計 / 宇宙干渉計 / 望遠鏡 / 重力波 / 赤外線 / 宇宙機システム |
研究開始時の研究の概要 |
編隊飛行は、複数の宇宙機が巨大な一つの観測システムとして動作することを可能にする画期的な技術である。制御精度が相対位置1μmを下回る、超精密編隊飛行の天文学応用も期待されるが、地球から遠い軌道を採用することに伴う実施コストの高さが障壁であった。本研究は、低コストでも実施可能な地球周回軌道での超精密編隊飛行の可能性を、軌道力学の観点から体系的に探求することを目的とする。「地球周回軌道で実現する超精密編隊飛行」という新たな選択肢の開拓を目指す。
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研究実績の概要 |
編隊飛行は、複数の宇宙機が巨大な一つの観測システムとして動作することを可能にする画期的な技術である。理学機器間の制御精度が相対距離1マイクロメートルを下回る超精密編隊飛行の天文学への応用も期待されるが、地球から遠い軌道を採用することに伴う実施コストの高さが障壁の一つであった。そこで本研究は、低コストでも実施可能な地球周回軌道での超精密編隊飛行の可能性を、軌道力学の観点から体系的に探求することを目的とする。本年度の研究進捗は以下の通りである。 1.短期的な相対軌道安定性に優れた軌道範囲の解明 地球周回円軌道の中から、高度数百キロメートル(低高度)から10万キロメートル(高高度)の広範囲に対して、短期的な相対軌道安定性に優れた領域を導出した。具体的には、各高度にて想定される軌道外乱項目を衛星間距離と軌道高度の関数として解析的にモデル化した。そして数値計算により、衛星間距離100 メートル(低高度)から100キロメートル(高高度)の範囲に、超精密編隊飛行に適した外乱の小さな領域が存在することを示した。 2.中~長期的な軌道安定性を考慮した軌道設計 中~長期的な軌道摂動が天体観測や衛星システム設計(例:電力、熱)に与える影響を、低高度から高高度の広範囲に対して分析した。低高度軌道から中高度軌道では天体干渉計(直線形)、高高度軌道では重力波望遠鏡(正三角形)を超精密編隊飛行の題材とし、天体観測範囲や衛星システム設計を考慮した軌道設計解の具体例を示した。 以上の研究成果を学会にて口頭発表した。また、本成果を体系的にまとめた内容が国際論文誌に採択された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時に掲げた研究内容に基づいて、地球周回軌道における超精密編隊飛行の実現性を、軌道力学の観点から明らかにした。中でも、解析的モデルを用いて軌道成立解を探索する方法を構築し、実際に複数の超精密編隊飛行ミッションの成立性を軌道外乱の観点から明らかにしたことは、重要な進捗である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に構築した解析的軌道外乱モデルを編隊飛行の自律制御に利用する研究や、不確定性が比較的大きい軌道外乱(例:太陽輻射圧、大気抵抗)に対処する制御手法の研究等を推進することで、軌道力学の観点から超精密編隊飛行の実現性を多角的に高めることを目指す。
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