研究課題/領域番号 |
23K13505
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分24020:船舶海洋工学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
清水 万真 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (60925527)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 脆性破壊 / ローカルアプローチ / 大規模降伏 / 鉄鋼材料 / 弾塑性破壊力学 / 二軸負荷 / 混合モード負荷 / 破壊靭性試験 |
研究開始時の研究の概要 |
複雑負荷を受ける構造部材の耐破壊性能を合理的かつ精緻に評価するには,欠陥に作用するせん断負荷や二軸負荷が破壊発生に及ぼす影響を適正に考慮することが極めて重要である。本研究では,このような巨視的な負荷状態に依存しない破壊発生基準を見出して準理論的に数理モデル化することで,新たな破壊モデルとそれに基づく破壊指標を導く。また,系統的に設定した複雑負荷条件で亀裂部材の破壊試験を行い,提案モデルを組み入れた数値解析による破壊限界予測を試みることで,提案モデルによる破壊評価の妥当性および有用性を検証する。
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研究実績の概要 |
複雑負荷下での亀裂部材の脆性破壊限界を精緻かつ合理的に予測可能とするため,巨視的負荷状態に依存しない微視的破壊現象のモデル化に立ち返るローカルアプローチの概念に着想し,破壊モデルの新規構築を行った。へき開型の破壊発生条件として盲目的に用いられてきたGriffith亀裂モデルを大規模塑性ひずみ下での弾塑性破壊発生モデルに刷新し,脆性マイクロクラックにおける弾塑性破壊駆動力として局所J積分(Local-J)を導入した。これにより,大規模降伏状態かつ複雑負荷下の亀裂部材においても材料固有の脆性破壊限界を与える破壊指標として「Local-Jベース拡張ワイブル応力」を導けた。脆性マイクロクラックをモデル化した円盤状亀裂を含むユニットセルモデルのパラメトリック弾塑性解析により,Local-Jに及ぼす組合せ応力と塑性ひずみの影響度を網羅的に整理した。当該解析結果を回帰的に用いることで,複雑負荷によって変化する亀裂先端の三次元組合せ応力状態を想定して,Local-Jベース拡張ワイブル応力を定式化するに至った。 一方で,提案モデルによる脆性破壊評価の精緻性および合理性を検証するため,複種の鉄鋼材料を対象に,複雑負荷下での亀裂部材の破壊試験を進めている。具体的には,脆性破壊限界に及ぼす負荷モード効果の取得を目的として,三点曲げによるMode I 負荷条件を基準に4点せん断荷重によるMode II負荷成分を付与した混合モード負荷条件を設定し,亀裂部材の脆性破壊試験を実施している。また,脆性破壊限界に及ぼす二軸負荷効果の取得試験を実施するため,二軸負荷試験のための特殊試験治具の設計製作を進めている。これらの脆性破壊試験を模した弾塑性解析においてLocal-Jベース拡張ワイブル応力を破壊指標として算定することで,負荷モードおよび二軸負荷に依存しない脆性破壊限界を評価可能かを検証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
先述の通り,複雑負荷下での脆性破壊限界を統一的に評価可能な破壊モデルを新規に発案し,それに基づく破壊指標を定式化まで含めて構築することに成功している。これと並行して,提案破壊モデルによる破壊評価の妥当性および精緻性の検証に向けて,種々の複雑負荷下での脆性破壊試験の実施を進めることができている。二軸負荷試験については,より効率的な試験法を採用して十分な試験数を確保するため,弾塑性解析による載荷方法の予備検討を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
提案モデルによる複雑負荷下での脆性破壊評価の妥当性および精緻性の検証を進めるとともに,学会および学術論文にて成果の公表を計画している。
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