研究課題/領域番号 |
23K13506
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分24020:船舶海洋工学関連
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研究機関 | 足利大学 |
研究代表者 |
飯野 光政 足利大学, 工学部, 講師 (60781961)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 波力発電 / 振動水柱型波力発電 / 多自由度振動系 / 水槽実験 / 海洋エネルギー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では振動水柱型波力発電の効率向上を目標として、固有周期を増やすために空気室内に複数の仕切り板を入れ、振動水柱群を内包する形にした「多自由度共振型振動水柱波力発電」を提案する。研究では仕切り板を入れた振動水柱の水槽実験模型を作成し、複数の振動水柱群の固有振動数とモード形状を計測・評価し、従来にはなかった3次、4次といった振動モードが現れるか、そして従来の振動水柱型波力発電と比較して効率が向上するのかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究での原理実証を目指す多自由度共振振動水柱型波力発電の原理検証の第一段階として、二つの水柱を並べた二自由度の振動水柱型波力発電の水槽実験模型の製作と造波実験による規則波中のエネルギー変換効率の計測を行った。 水槽実験模型は二つの振動水柱が波の進行方向に対して直列に並んだ形状とした。先行研究と同様に二つの水柱の上部の空気室部分が結合しており、単一の空気室を有する模型と、二つの水柱の上部の空気室部分が独立して、それぞれに空気室を有する模型の2種類をつくり、それぞれ二つの水柱を仕切る板の深さを深い条件と浅い条件で変えた実験を行った。 実験の結果、周期の短い波においては波の当たる側(前側)の水柱の振動が大きく、周期の長い波においては徐々に後側の水柱の振動が大きくなっていくという、周波数依存性が確認でき、二自由度の振動であることを確認できた。また、二つの水柱の上部の空気室が結合している場合、二つの水柱が逆位相で振動することで空気室内の圧力が高まらない条件があることが確認できた。そして二つの水柱それぞれが独立して空気室を持つことがエネルギー変換効率を高めることが明らかになった。 二つの振動水柱を隔てる仕切り板の深さについては、深いほど明確に2自由度振動系としての特性が現れることも確認することができた。 以上のとおり、今年度は本研究で提案する多自由度共振振動水柱型波力発電の最も基本的な形である2自由度振動水柱の原理検証実験を完了することができた。 最後に、仕切り板のない従来型の振動水柱型波力発電もベンチマークとして評価を行った。その結果、同一の外寸で2自由度振動水柱にした場合、周波数特性の変化はあるものの、明確に最大効率が落ちることはなく、本研究の提案する多自由度共振振動水柱は効率を維持したままエネルギー変換の周波数帯を広げられる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画当初は3,4自由度振動水柱の自由振動実験を行う予定だったが、模型製作の遅れ、ならびに当初予定していた真空ポンプでは吸引力が不足していたために自由振動実験ができなかったことにより、今年度は2自由度振動水柱の原理検証のみとなった。 しかしながら、今年度水槽実験による評価を行った2自由度振動水柱については、研究計画当初に期待されていた特性が期待通りに現れ、またエネルギー変換効率についても、明確に従来の振動水柱型波力発電より低いことはなく、本研究当初に期待していた研究成果を得ることができた。 以上の通り、模型製作の遅れはあるため、進捗はやや遅れているものの、実施内容については当初の期待通りの成果を得ることができている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は当初予定していた自由振動実験のため、大型の真空ポンプを導入し、すでに製作済みの2自由度振動水柱と今後製作予定の3,4自由度振動水柱の地涌振動実験を可能とする。今年度はポンプ動力の不足により自由振動実験が行えないために、振動特性を把握するために広い周波数帯にわたる造波実験が必要となっていたが、大型の真空ポンプ導入により、振動特性の把握に必要な実験が短縮できるため、やや遅れている進捗を取り戻すことができる見込みである。
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