研究課題/領域番号 |
23K13516
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分25010:社会システム工学関連
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
中塚 昭宏 青山学院大学, 国際マネジメント研究科, 准教授 (70877026)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 生産管理 / 需要予測 / 食品ロス削減 / SDGs / 経営工学 |
研究開始時の研究の概要 |
SDGsの目標12「持続可能な生産消費形態の確保」を達成するには、手段の一つとして食品ロスを削減しなければならない。研究代表者がある企業で調査したところ、食品ロスを発生させる第一の要因(73%)は需要予測外れであった。日配品は、曜日ごとに出荷の傾向が異なる特徴があるので、本研究ではどの曜日とどの曜日の需要には関連があるのか、ないのかを多重比較法で需要分析し、この分析結果を自己回帰モデルに組み入れることで、需要予測精度を向上させる手法を提案する。次に、需要予測を生産計画に的確に反映させる手法を開発する。さらに、需要予測と生産管理の手法を連動させた生産管理システムのグランドデザインを提案する。
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研究実績の概要 |
2023年度は,まず,協力企業から提供いただいた廃棄実績データを分析した.廃棄が発生した要因を調べていったところ,需要予測外れが廃棄の73%を占めていることがわかった.本事例研究で対象としている日配品は,工場内で保管可能な日数が最大で4日程度しかなく,需要予測を外すと廃棄に直結しやすいという特徴がある.生産要素の4M(人,設備,材料,方法)の観点で対策を検討した結果,期間,費用の面で優位であることから,方法(手法)の観点で需要予測精度の向上をさせることにし,日配品に適した需要予測手法を提案した.日配品の需要には,曜日に依存した傾向があることに着目して,多重比較法を移動平均法の変数選択に活用する手法を開発した.具体的には,日曜日と火曜日の需要に関連がある場合は,日曜日の需要を予測するとき,日曜日と火曜日のデータだけを用いて,移動平均を行う手法である.協力企業では,経験的に需要が曜日に依存する傾向があることを把握していたが,科学的なアプローチは導入されておらず,担当者の引継ぎに約半年を要するという課題を抱えていた.この問題を提案手法により解決することができる.一方,気温や天候に関しては,協力企業が1拠点で生産し,全国の顧客に出荷をしていることから,需要予測の計算式には,あえて組み込まず,マニュアルで微調整できるような仕組みとした.システムを開発して,この提案手法を協力企業の実務に導入した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日配品の需要予測手法を提案し,協力企業から提供されたデータで検証することができた.研究成果を日本経営工学会の全国大会(2回)や青山学院大学で開催された産学連携イベントのポスターセッションで発表することができた.さらに,査読論文誌である「フードシステム研究」に研究成果を掲載することができた.また,副査を担う日本経営工学会の研究プロジェクトで講演会を主催して,研究成果に関するディスカッションを海外の大学教員や実務家などと実施することができた.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き協力企業からデータを提供いただき,今後は,需要予測と生産管理の連動についての研究を進めていく.具体的には,提案した需要予測手法による算出結果に基づき,商品別に適正な在庫基準を決定し,製造指示量を決定するという一連の生産管理プロセスを構築する研究を行っていく.このプロセスにより,廃棄削減にどれほど寄与することができるのか,検証をしていく.
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