研究課題/領域番号 |
23K13517
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分25010:社会システム工学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
柿本 陽平 日本大学, 生産工学部, 助教 (90899494)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 社会シミュレーション / Multi-agent システム / 機械学習モデル / 最適化手法 / 機械学習 / 数理モデル |
研究開始時の研究の概要 |
Multi-agent システムなどに代表される社会シミュレーション手法は,社会という複雑系を構成する個体の行動を確率事象として捉える.そのような確率論的手法は柔軟に細かな条件を組み込めるという強みがある一方,不確実性に伴う計算コスト増大などの弱みがある.そのため計算コスト削減の観点から,マクロ複雑系の中に点在するミクロ複雑系の影響は無視されるか単純化されてしまう.そこで決定論的手法を応用し,ミクロ複雑系の影響を省計算コストかつ高精度に再現する手法を構築することで,ミクロ複雑系を含むマクロ複雑系に対して,高速に大量のシナリオ効果を検証することができる社会シミュレーションの枠組みを確立する.
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研究実績の概要 |
本研究の目的はマクロ複雑系が内在するミクロ複雑系を無視することなく、社会施策に関する諸条件からなる大量のシナリオに対して、高速に出力を得ることのできる枠組みを確立することである。構築した枠組みを用いることで、刻々と変化する社会においてどのような施策の組み合わせ、すなわちシナリオが社会にとって効果的であるのか、容易に調査することが可能となる.特に2019年に発生したCOVID-19 パンデミック以降、人流抑制やワクチン接種などの大域的な施策効果検証のための社会シミュレーションは重要性を増していることから、本研究では感染症が拡大した社会を事例として、研究を計画してきた。そこで本年度は、以下の1, 2に挙げる項目に重点を置き研究を進めた。 1.ミクロな複雑系における感染症の拡大を防ぐMulti-agent システム(MAS)の開発と効果検証を行った。具体的には飲食店などの施設において、施設の利用者が着座する座席を動的に制御することにより、施設内の全体感染リスクを低下させる着座モデルを開発しその有効性を示した。また、開発したミクロ複雑系における感染過程を再現する機械学習モデル構築のためのデータの蓄積も進めている。 2.マクロ複雑系におけるMAS の性能を評価するためには、実データとの比較が必要となる。本研究では千葉県習志野市で取得された携帯端末に紐づく位置情報データを利用して、実データとの比較を行う予定であるが、人々の性別や年齢などといった属性に対して欠損値が多数含まれており、そのままでは詳細な比較ができない。そこで携帯端末から取得された座標データのみに基づき、混合ガウスモデルを用いて対応する人物の属性を推定するための特徴量を生成した。さらに生成した特徴量を用いて機械学習モデルを構築することで、属性値を補完する手法を提案した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マクロ複雑系に点在するミクロ複雑系におけるMAS の開発と有効性検証が完了しており、また、マクロ複雑系におけるシミュレーション手法の有効性検証を前提としたデータ構築に関する成果も得られたため、おおむね順調に進行しているものと判断される。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究では、1 で蓄積したデータを用いてミクロ複雑系の感染過程を高速に再現する機械学習モデルを構築する。さらに構築した機械学習モデルをマクロ複雑系に点在するミクロ複雑系に組み込むことで、大域的に感染症拡大を制御するための枠組みを開発する。また、2で開発した手法により補完された実データを用いて、開発する枠組みの有効性を示していく。
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