研究課題/領域番号 |
23K13545
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分26020:無機材料および物性関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
近藤 真矢 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 助教 (20890205)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 強誘電体薄膜 / 電気光学効果 / 分極ドメイン / 反強誘電体 / 電界誘起相転移 |
研究開始時の研究の概要 |
近年従来のエレクトロニクスを光配線や光集積回路を用いて、光主体の素子に置き換えることや光子1個に情報を付与して高信頼性・大容量の情報通信の実現が求められている。よって、光集積回路上に強誘電体薄膜を用いた電気光学 (EO) デバイスを集積化させ、極低温でも動作可能な光変調器を実現することが期待されている。 一方で、室温以下のEO効果や分極ドメインのダイナミックスに関する報告例はほとんどなく、未踏の分野である。本研究では、“分極ドメイン”という観点で精密なドメイン構造制御を行い、より大きなEO効果を発現させるための材料設計指針を確立し、分極ドメインのダイナミクスをEOデバイスに応用可能かを検討する。
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研究実績の概要 |
近年従来のエレクトロニクスを光配線や光集積回路を用いて、光主体の素子に置き換えることや光子1個に情報を付与して高信頼性・大容量の情報通信の実現が求められている。よって、光集積回路上に強誘電体薄膜を用いた電気光学 (EO) デバイスを集積化させ、極低温でも動作可能な光変調器を実現することが期待されている。一方で、室温以下のEO効果や分極ドメインのダイナミックスに関する報告例はほとんどなく、未踏の分野である。本研究では、“分極ドメイン”という観点で精密なドメイン構造制御を行い、より大きなEO効果を発現させるための材料設計指針を確立し、分極ドメインのダイナミクスをEOデバイスに応用可能かを検証することを目指している。 本年度は、動的な分極ドメインとして反強誘電体の電界誘起転移による分極スイッチングについて検討した。化学溶液堆積(CSD)法によってエピタキシャルなPbZrO3 (PZO)薄膜の作製条件を検討し、そのEO特性の評価を行った。主な成果は以下の通りである。 ・簡便なCSD法で薄膜がエピタキシャル成長する条件を確立した。また、配向や膜厚の異なるPZO薄膜を作製し、その構造や特性の評価を行った。 ・X線回折による詳細な構造解析から、作製したPZO薄膜はマルチドメイン構造であり、膜厚や配向によって格子定数やドメイン構造が大きく変化することが分かった。また、(001)/(100)配向の薄膜と(111)配向の薄膜を比較すると、(111)配向の薄膜の方が反強誘電相から強誘電相へより急峻なスイッチング挙動を示すことが分かった。 ・低電場でのEO応答は配向によらず同程度であり、PZOの内因的なEO効果を示唆した。さらに、一定以上の電場を動的に印加すると、EO応答は大きく変化し、そのEO応答は分極の電場に対する変化とおおむね一致しており、外因的なEO応答を示唆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は当初の計画の通り、動的な分極ドメインとして反強誘電体の電界誘起転移による分極スイッチングについて検討し、CSD法によってエピタキシャルPZO薄膜の作製条件を検討し、そのEO特性を薄膜の配向や膜厚を変化させて評価することができた。予想していたような分極スイッチングによるEO応答の増強を反強誘電体の電界誘起転移の場合にも観察することができ、基礎的な評価までを終えることができた。
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今後の研究の推進方策 |
薄膜の作製条件や評価法等は確立できたため、強弾性ドメインを有する強誘電体薄膜と反強誘電体薄膜を用いて、広い温度範囲で分極の電場応答やEO応答を評価し、本研究の主題である室温以下の分極ドメインのダイナミックスについて明らかにする予定である。
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