研究課題/領域番号 |
23K13547
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分26020:無機材料および物性関連
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
本橋 宏大 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 助教 (30951397)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | フッ化物ガラス / 固体電解質 / フッ化物 / ガラス / 全固体電池 / イオン伝導体 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,ガラスが有する構造,元素選択の自由度,成形性に着目し,全固体フッ化物イオン電池の実用化を可能とするフッ化物イオン伝導性ガラス材料の開発を目指す。従来のフッ化物ガラス合成手法と異なる遊星型ボールミル装置を用いたメカノケミカル法により試料合成し,高イオン伝導性ガラス材料を探索する。さらに,それらの構造とイオン伝導特性の相関や機械的特性を明らかにする。
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研究実績の概要 |
今年度はメカノケミカル法を用いたフッ化物ガラスの作製に注力した。フッ化物ガラスは一般的にガラス形成能が低く結晶化しやすいために融液を大きな冷却速度で急冷する必要があることや,原料が大気中の水分と反応するなど,作製が難しい。これに対して,リチウムイオン伝導性硫化物ガラスの作製手法として知られている遊星型ボールミル装置を用いたメカノケミカル法のフッ化物ガラス作製への適用を試みた。モデル材料としてZrF4-BaF2系ガラスを選択した。メカノケミカル法を合成に用いることでガラス化領域が,溶融急冷法と比べて,拡大した。また,酸性フッ化アンモニウム等が不要で,原料のみでフッ化物ガラスが得られることがわかった。ラマン分光法より,BaF2の割合の増加に伴い,非架橋のFの増加が確認された。導電率は60ZrF4・40BaF2ガラスの時に最大値を示した。DTA測定から,メカノケミカル法で得られたガラスは,既報の溶融急冷法で作製されたガラスとは異なり,約230℃で結晶化ピークが認められた。このガラスについて,結晶化温度近傍で熱処理をすることで結晶化ガラスを得た。結晶化ガラスのTEM観察から,数十nm程度のα-BaZrF6結晶が確認された。この結果から,230℃近傍の結晶化ピークは,ガラス相からα-BaZrF6結晶への結晶化ピークであると考えられる。既報の温度は,390℃であることから,合成方法により,ガラスの局所構造が異なると考えられる。この結晶化ガラスの導電率は,結晶化前と比較して,3倍程度高い値であった。また,いずれのBaZrF6結晶の導電率より高い値であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに,フッ化物ガラスの合成にメカノケミカル法が有用であることが確認できた。さらに,メカノケミカル法で作製されたZrF4-BaF2系ガラスを熱処理することで,高イオン伝導性ガラスセラミックスを見出した。以上より,研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
フッ化物イオン伝導性ガラスの探索について継続して行うとともに,フッ化物ガラスの機械的特性について調べていく予定である。また,今年度開発したZrF4-BaF2系ガラスの結晶化プロセスについても調べていく予定である。
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